「もとこの秘密」
「もとこ先生には、
何か秘密があるんだなあ」
と
木太郎がヒトメとアユメの顔を交互に見て言う。
「私イヤだ」
「私も」
二人はもとこが怖くてしゃべりたがらない。
「じゃあ、もとこ先生が来たら、
言い付けようかなあ。
二人が何か先生の秘密知っているって」
と
ずる賢い木太郎が言う。
すると、
「やめて、それだけは。
言うならアユメだけにして」
「ああ、ヒトメずるい。
木太郎くん最初に言いだしたのはヒトメよ。
それだけはちゃんと言ってよ」
「何よ。
もとこ先生が元デブだった何て、
私言った?
あっ...」
ヒトメは慌てて口を押さえたが、もう遅かった。
「おいおい、
余計なこと聞かせるなよ」
と
木太郎ががっかりした顔で言うと、
「オタクがこの二人のおバカを脅かすからだろう」
と
ホウセイも怒っているのか、
ショックなのか、
微妙な顔で言う。
「あー、いやだ。
変なことを聞いてしまった。
明日まで我慢できるだろうか」
と
永久は、
はたからみれば、
おおげさに頭を抱えるが、
本人はいたって真面目だった。
「あー、あー。
おしゃべりがここは多いから怖いなあ。
特にヒトメとアユメと木太郎くんは」
と
アスカも憂鬱そうな顔をする。
「何で俺がおしゃべり何だよ」
と
木太郎が言うと、
「おまえなあ。
二人を脅かしておいて、
何がおしゃべりじゃないだ。
それに、すぐ笑うだろう。
おまえが一番怖いんだよ」
と
くそたが木太郎の頭を叩く。
「はい、もう笑いません」
と
木太郎は頭を下げるが、
みんながすごく憂鬱だったので、
何故、
もとこが元デブなのかまで聞かずに、
もとこ=元デブを確定的事実にしてしまった。