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BADEND「お背中流します」

「生徒固まる」に続きます。二日続けてのBADENDです。



 「じゃあ、

 もとめが戻ってくるまで、

 あたし、

 露店風呂入ってくるわ。

 みんなも入る」

 もとこが言うと、

女生徒は

 「今は結構です」

と言うと、

 「そう、また入ってもいいのよ」

もとこは着替えも持たずに一人で露店風呂へ向かった。

 「また、入る気かしら」

 アユメがつぶやく。

 「俺ちょっともとめ先生のとこ行って来る」

 おちたがそう言って、走っていくと、くそたも追いかける。



 トントン

 「だーれ」

 「おちたです」

 「くそたです」

 「どうしたの。

 重要な話しがあります」

 「そう。でも」

 「5分でいいから聞いてください」

 「わかったわ」

 もとめは二人を部屋に入れる。


 

 「率直に聞きます。先生が元デブで、顔を整形したって嘘ですよね」

 くそたがおちたの言おうとしたことを先取りしていきなりそう言う。

 「えー、そんなでまかせが...。

 姉の奴ね。

 道理で、

 みんなの視線が、

 途中から変だと思ったのよ」

 もとめは冷静そうに言うも、

 手を強く握り絞め、

 顔は明かに怒っていた。

 「やっぱり、嘘だったんですね」

 「あたりまえよ」

 「この顔のどこが整形なのよ」

 「すいません」

 おちたが思わず謝ってしまう。

 「いいのよ。

 姉の奴が悪いんだから、

 で、あいつは」

 「露店風呂です」

 「露店風呂!呑気にあの野郎」

 もとめが急にキレた。

 おちたとくそたは怖くなって、

 「じゃあ、失礼します」

と言って、

 逃げるように出ていった。

 「ごめんなさい。ありがとうね」

 もとめはすぐ気づき、優しく言い直したが、

 二人とも明らかにもとめが怒っているのがわかっていたので、振り返らず、そのまま部屋を出た。



 「やばかったかな」

 「やばかったかもよ」

 「部屋でじっとしてようか」

 「その前にみんなに言って、

 俺の部屋で成り行きを待とう」



 おちたとくそたが食堂に行くと、

 他の生徒たちも、

 これは大げんかになると思ったのか、 くそたの部屋に避難することにした。

 

 一方、

 もとこは、

 いい気分で湯に浸かっていた。

 まさか、

 おちたとくそたが、

 もとめにチクリに行くとは思ってもいなかったからだ。

 しばらくすると、

 もとめが湯に入ってきた。

 もとこは少し驚いたが、

 「姉さん、ごめんね。

 お詫びにお背中でも流します」

 いかにも自分が悪かったような言い方をした。

 「いいのよ。

 反省していれば」

 もとこはずうずうしく言うと、

 「じゃあ、

 あんたも今来たところだし、

 もうちょっとしたらお願いするわ」 と

 にやりと笑った。



 「今日で最後なのね」

 もとめが呟くと、

 「あっという間の合宿だったわね」

 もとこはある企みを持っていたので、 ただそう言った。


 

 しばらくして、

 もとめはもとこの背中を洗いながら、 「そう言えば、

 姉さん、だいぶ痩せたわね」

と言った。

 「そうね。

 昔はもうちょっと太っていたけど、

 母さんが死んでから痩せたのよ」

 まるで、

 もとめの母親がろくに食べ物を与えなかったので、

 痩せたかのような言い方をした。

 もとめは自分こそすごいデブだったクセにと思いながら、

 背中を洗いあげると、

 「ねえ、姉さん、

 私って、整形したっけ」

とわざと訊いた。

 「あら、そんなことないんじゃない? 誰がそんな噂流したのかしら」

 もとこはすっとぼけた。

 「姉さんじゃないの」

 もとめが言うと、

 「何で、私が」

 また、すっとぼけた。

 すると、

 もとめは 

 「あら、背中に何かあるわ、

 ちょっとじっとしててね」

と言った。



 生徒たちは、

 くそたの部屋でふざけあって遊んでいたが、

 2時間くらいたっても、

 二人とも呼びに来ないので心配になって、

 代表のおちたとくそたが、

 まず、

 もとめの部屋に行った。

 もとめは顔を出したが、

 相変わらず、

 調子が悪いと言っていたので、

 「お大事に」

と言って、

 すぐ帰ってきて、

 みんなに報告した。


 みんなは喧嘩にならなくて良かったと安心した。

 もとこの方は、

 みんなあんまり心配してなかったので、そのまま、生徒だけで遊んでいた。

 結局、

 深夜まで生徒たちは遊んでしまい、

 そのままその日は解散となった。



 翌朝、

 女生徒が露店風呂に行くと、

 何故か、

 もとこが、

 全裸で首をつって死んでいた。

 結局、

 生徒が何も余計なことを言わなかったので、

 理由不明のまま、

 自殺として処理された。

 尚、

 オオシマもそのまま消えたので、

 オオシマによる他殺だという噂もたったが、

 しばらくすると、そんな噂も皆忘れてしまったのだった。

(終)

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