「美しき妹もとめ」
「いらっしゃい、
姉がいつもお世話になっております。
妹のもとめです。」と、
にこやかに、
そして姉と違って爽やかに一行を迎える。
もとめが出てきた瞬間花のようなさわやかな匂いもした。
一行は中に入ると正面のリビングに通される。
「姉は今テストの準備をしております。
部屋割はもうしてありますから、
このまま、部屋に入られてちょっとお休みしてくださいね。
部屋にはトイレも浴室もあります。
あと、各部屋の冷蔵庫に冷たい飲み物を用意してありますから、
いくらでも好きなものを飲んでね。
うーん、まだ、11時だから12時に
ここに集合ということでよろしいですね。
それから、軽くお昼をとって午後からテストと聞いてます」
ともとめが明るく要領よく言う。
そして、
「えー、またテストかよ」
とくそたが呟くが、
もとめはくそたにかまわず、
「101号室、くそたくん、
102はおちたくん、
103は木太郎くん、
104は永久くん、
105はホウセイくん、
201はアユメさん、
202は、ヒトメさん、
203はアスカさん、
204はチウメさん、
205はレイカさん、
私は106、
姉は206、
教室は207ね、
執事のオオシマさんは管理人室を使ってもらいます」
と言って、
テキパキ鍵を一人づつ渡すと
「それから正面から見てリビングの左側の奥に、
露天風呂があるけど、まだ、清掃中だから入るのは夕方以降にしてね。
6時から9時が女子、
10時から12時が男子ね。
一応、入り口に表示はするけど間違えちゃだめよ、
あと今日は外出禁止。
いい、何か質問あるかな」と、
もとめが言ったものの、
とても質問できるような雰囲気ではなかったが、
「あの207号室って、昔事件があった部屋では」
と木太郎がずうずうしく質問する。
「よく知ってるわね。
でも、ちゃんとリフォームもしたしお祓いもしたから、
大丈夫よ。怖いの?」
「いえ、念のため」
「あと、この屋敷には地下室もあるけど
下手に入ると戻れなくなるから
ここと自分の部屋、露天風呂、
食堂以外には立ち入らないこと。
でも、地下室の入り口はそう簡単には見つからないけどね。
じゃあ、これで、一旦解散」と言うと、
もとめは
さっさっと食堂からキッチンの方へ向かって行ってしまった。
「来ている服は同じだけど、
お姉さんとはずいぶん感じが違うね。」
とおちたが言うと、
「本当、服さえ変えればもっと素敵なのにね」
とレイカも似たように褒める。
「でも、同じ姉妹だから意外に冷たいかもよ。
俺先に部屋に行くぞ」と、
くそたが一人移動始めると、
一行はそれに習うようにそれぞれ自分の部屋に向かった。