「にやけるおちたともとこの提案」
「何にやけてるんだ」
と
木太郎がおちたの顔を見て言うと、
「思い出し笑いさ」と言って、
また、おちたはにやける。
「で、もとこ先生ともとめ先生は?」と
ヒトメが訊くと、
「シャワーを浴びているとき、
着替えを少し濡らしたみたいで、
もとこ先生のを借りに行った」
と
おちたは簡単に言った。
「ウォシュレットがないですからねえ」
と
チウメがぼっそり言うと、
ヒトメが
チウメのおでこをちょこんと叩いた。
しばらくして、
もとこともとめが揃って現れた。
「お待たせね」
ともとめが言うと、
「ウォッシュレットがないと不便ですね」
と
チウメがまた言う。
「え?やだー、違うわよ」
と
もとめは本当のことは言えないので、
笑ってごまかす。
「あっ、もうこんな時間、ビリ決戦までできるかしら、
もとめが負ければ、それでいいけどね。
そうだ。みんなもう一泊しない。まだ、休みあるし」
と
もとこが言いだす。
「でも、電話もないのに、
どう家族に連絡するんですか?」
もとこは少し考えて、
「あー、もしかしたら、オオシマのバカ、
明日、迎えに来ると勘違いしてるのかもしれない。
明日、オオシマが来たら、町まで行って連絡させるというのは、
どうかしら、オオシマが来なかったら、
誰かが町まで電話しにいくの」
と
もとこが言うと、
「賛成」
と
まっさきに木太郎が手を挙げるともとめ以外はみんな頷く。
「今日の207号室行きはどうするんですか」
と
もう無関係なアスカが訊くと、
「もとめがまた負けたら決定。
もとめが勝ったら、明日ビリ決勝戦というのはどう?」
と
もとこが言うと、一人を除いて、
みんなうなづく。
「どうしたの?木太郎くん」