「ラッキー」
トントン。
もとこがもとめの部屋をノックしても返答はない。
もとめは、
相手が誰だかわからないので、
居留守を使った。
すると、
もとこが
「やっぱり倒れてるのよ」
と
鍵をかけ忘れたもとめの部屋のドアを開けて、
おちたと共に飛び込む。
びっくりしたもとめは身体に巻いていた
バスタオルを落としてしまった。
驚くもとことおちた。
もとめは慌てて、
バスタオルを拾いしゃがみ込む。
「見たな?」
もとめではなく、
もとこが何故かおちたを睨む。
「はい」
と
おちたは嘘をついている様子もなく、すんなり頷く。
「本当に見たの」
「はい、もとこ先生の驚く顔を」
それを聞いたもとめは安心してバスタオルを身体に巻くと、
「ちょっと姉さんに頼みがあるから、
みんなにもう少し待つように食堂に戻って言っておいてくれる」
と
もとめが言うと、
おちたは素直に
部屋を出ていく。
「あんた何やったのよ。
あら、
あそこに転がってるの、
トイレットペーパーの芯?
うあー汚い。
どういうこと」
もとこが冷ややかな目でもとめを見ると、
もとめはうつむきながら事情を話す。
「しょうがないわね。
私が多めにドレスや下着用意してあるから、
貸してあげるわよ。
でも、おちたくん、
あのペーパーの芯に気づいてないかしら」
と
もとこが言うと、
「あの子は正直だから、多分」
と答えた。
「じゃあ、今すぐ持ってくるから早く着替えて来るのよ、
あんたがビリだからゲームはじまらないでしょう」
と
もとこは言って、
もとめの部屋を出ていった。