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「旧小島邸到着」
バスは3時間程度で
目的地の旧小島邸に到着した。
「すげえ、
古い別荘と聞いていたからおんぼろかと思っていたが、
小さい城みたいだな」
おちたがはしゃいで言う。
「こんな立派な別荘で悲惨な事件が起きた
とはとても思えないよな」と、
今度は木太郎が呟く。
「何、それ」
おちたの質問に
木太郎は、
「オタク、知らなかったの、10年くらい前だけど、
ここで何人も殺されたみたいだよ。
なんでも、まだうちの高校が男子高時代に
うちの先輩も関係していたみたいなんだ。
詳しいことは誰も知らないようだけど、
その後、誰かがここを買い取って事件前と
ほぼ同じようにリフォームしたって聞いてるけどな」と、
木太郎が腹を掻きながら自慢げに話しているが、
ヒトメやアユメなどほとんどの生徒が屋敷の豪華さに喜んでいて、
木太郎の話なんて聞いていない。
門の扉の鍵は既に開いていて、
一行は広い庭を進み玄関の扉の前につく。
呼び鈴のようなものがあったので、
おちたが押すと、
すぐに
もとこと同じような黒服を着た
ショートカットの美しい女性が現れた。