「ピンチのもとめ。トイペがない場合の凌ぎ方」
やや下品ですので、食事中はおすすめしません。
「あんた、
もう何回「リ」で負けてんの?
それに相手を選びなさい。
ヒトメさんはおしゃべりなだけで、
本当におバカなわけじゃないのよ。
それに、
木太郎くん以上に負けず嫌いだから。
その辺理解しなきゃ」
と
もとこがもとめに説教する。
「さすが、もとこ先生わかってる」
と
アユメとアスカが口を揃えて言う。
「そうですよ。
狙うなら永久かくそたのどっちかだな」
と
木太郎が言うと、
「なんでだよ」
と
くそたが木太郎を睨みつける。
「いや、
そういう短気なところが
この勝負ではダメなんだよ」
と
木太郎が鼻をほじりながら偉そうに言う。
「じゃあ、永久は?」
と
くそたが訊くと、
「ああ、永久はちょっと頭が」
と
木太郎が言いかけたとたん、
永久の蹴りが入る。
「ありがとう、木太郎くん、
今度からくそたくんか永久くんにするわ」
と
もとめが真面目な顔で言ったので、
くそたと永久を除く皆は大笑いした。
「覚えてろ、木太郎。
調子に乗ってるとな」
と
くそたがそう言った後、
永久の耳元で何か囁くと、
永久は頷いた。
「あの、
姉さんちょっと休憩していい」
と
もとめが言うと、
「あら、ウンコ」
と
もとこが言うと、
皆大笑いする。
「姉さんとは違うわよ」
と
もとめがムキになったので、
「あら、ごめん。
冗談だったのに怒るとこ見ると、
本当だったかしら」
と
もとこが、
しらっとした顔で言うと皆また笑う。
「もう、どうでもいいです」
もとめは不機嫌そうに言うと、
自分の部屋に走って戻って行った。
「図星ね」
と
もとこが言うと、
またまた皆大笑いする。
もとめはすぐにトイレに入って、
どうにか出し切ったところまでは良かったが、
トイレットペーパーがないことに気づいた。
「あー、ついてない」
いくら改装された古い屋敷とはいえ、
ウォシュレットなんてものはついてないので、
仕方なく、
ペーパーの芯を尻に挟むと、
隣の浴室で、
尻の穴の周りなどを洗った。
「そうだ、新しいのを出さないと」
周りを探すと、
なんとトイレに座ると後で見えない水槽タンク上に
いくつものトイレットペーパーが積んであった。
「何だ。
損したわ。
あれ、Tシャツが濡れてる。
あー、どうしよう。
そうだ、
リーチがかかったから、
頭を冷やしたことにして、
シャワーを浴びたことにして、
着替えよう」
もとめは一人でぶつぶつ言うと、
Tシャツも脱いで、
全身シャワーを浴びてから着替えた。
「あの子、遅いわね」
「何か便秘みたいですよ」
と
木太郎が余計なこと言う。
「何で知ってるのよ」
「いえ、なんとなく」
木太郎は口ごもる。
「あの子、
リーチかかってるから、
先に始める?」
「もう合宿も最後ですから、
ゆっくりやりましょうよ。
今、デザート持ってきます」
と
アスカが言うと、
女生徒たちは
もとこの返事も聞かずにキッチンへ行く。
「負けはもとめに決まったようなものだもんね。
それにしても遅いわね。
そうね。
おちたくん、
私と一緒にもとめの部屋付き合ってくれる」
「僕がですか?」
「そう一番真面目な子がいいから」
「どうせ、俺たちは」
と
木太郎は言いかけて黙り込んだ。