「ラストコンテスト」
夕食を終えると、
「えー、
最後の合宿の夜は楽しくやりましょうね。
まずは、コンテストね。
今回は新しい趣向でいくわよ。
男子の方、賞品はいい」
と
もとこがにやりと笑って言うと、
「えーでは、
審査委員長の私木太郎が発表します」と
木太郎が偉そうに話しだすと、
「いつから審査委員長になったんだよ」
と
おちたがチャチャを入れると、
「一番金を出すのはあいつだから、
そのくらい我慢しろ、
特に何も出さないオタクはな」
と
ホウセイが、
おちたの耳元で小声で言うと、
そうだったというように、
おちたは頭を掻いた。
「えー、
おちたくんを無視しまして続けます。
優勝者あるいは準優勝者が同点の場合は、
審査委員長の私木太郎が決めさせていただきます」
「前置きはいいから、
賞品言いなさいよ」
と
ヒトメが言うと、
「いいんですか。私が審査委員長ですよ」
と
木太郎は鼻をほじりながら偉そうに言うと、
「賞品次第よ」
と
ヒトメが言い返す。
「うーん、おバカちゃんは無視しまして、
まず、準優勝の賞品から、
えー、
なんと5万円の商品券です」
と
木太郎がさらに偉そうに言うと、
「えー、凄い」
と
女子達は驚く。
「木太郎くん、ごめんね。さっきのなしにしてえ」
と
ヒトメが調子よく、頭を下げる。
「はいはい。
前向きに検討しておきますよ。
では、優勝者の賞品は、そうです。
ご想像どおりです。
えー、10万円の商品券です。
天下のオンシラーズ高校男子は太っ腹ですよ」
と
木太郎が周りを見回すと、
女子たちがニコニコしながら拍手をしている。
「木太郎さん、ごめんなさい。
もう忘れてね」
と
ヒトメがまたしつこく言うと、
「あんた、調子良すぎるのよ。
何が木太郎さんよ、
いつもはハナクソ王子って呼んでるクセに」
と
アユメが大声でチクる。
「何よ、アユメだって、
そう言ったら笑ったじゃない、
あっ」
と
そう言った後、
ヒトメがうつむくとみんな笑う。
「ハナクソ王子?
ハンカチ王子の間違いですね。
まあ、王子だけ覚えておきましょう」と
木太郎はそう言いながら、
鼻をほじると不気味な笑いを浮かべた。