「続く自習」
「只今、採点中、あと最低2週間待ってね。
その間各自、自習お願いね、先生真剣に選ぶから」
と書かれた掲示板に翌日学校に来たクラスのほとんどが固まった。
普通ならここで親が学校に抗議するだろうが、
噂が噂なだけに誰も抗議できない。
いや、下手に抗議して10人に残れなかった場合を考えると
親にさえ言えない生徒がほとんどだ。
「やっぱり、変態」
「ううん職務怠慢」
「おバカ盗聴器があるかもよ」
噂が適当に拡大し、各自黙って自習する。
下手な話しをすると、
盗聴の一言でだまり込む生徒がほとんどの中、
アスカが最初こそ、
一人で悪口をいいまくったが、
誰も相手にしないどころかかえって、
人気があった男子にまで敬遠されてしまい、
おとなしくなる。
あの女悪魔だわ。
アスカは心の中で叫ぶのが精一杯になった。
他方、緊張がゆるんだのは永久だった。
声には出さないが自分だけがターゲットでなかったと思いこみ、
鼻歌を歌いながら推理小説に毎日没頭した。
不安だったのはホウセイと木太郎だった。
もとこ先生の魅力に気づいていたのは自分くらいだ
と思いこんでいただけに選考に時間がかかったことで、
他にも、もとこ先生の大ファンがいるものと思いこみ、
自分の見通しが甘かったと後悔していた。
くそたは相変わらず帰宅時に某ショップで某フィギュアを眺め、
ゴールデンウイーク前に発売される携帯ゲームソフトの発売を
心待ちにしていた。
オチタはもう少し選考がのびれば、
ゴールデンウイークで休みになると甘い考えを持っていた。