「テスト終了」
「はーい時間です。
そこもうお終いですよ。
前に答案用紙を回して」
もとこは
機嫌よく答案用紙を回収する。
「今日は
いきなりのテストでお疲れさま。
これで解散にしますよ。
明日からはびっしと行きますよ。
では、ごきげんよう」と、
もとこは一方的に言うと、
さっさと部屋を出ていった。
「何、あの女いきなり変な問題だして、
1時間でごきげんよう、
ふざけんじゃないわよ」と、
ある女子がもとこが出ていった後大声でいう。
その女子は当然、賛同者が出るものと思って行ったのだが、
「どうしよう、10人に入れなかったら、
もうあと2年は用なしになるの?」
「あの先生のことだから、
残れなかった生徒は因縁つけられて退学にされちゃうかもよ」
「ああ、もっとおべっかでも使っておけばよかった」などと、
後悔する声がほとんどだ。
もとこを非難した女には小声で「あの子お終いね。
盗聴器が仕掛けられているかもしれないし、
誰かがチクるかもしれないのにね。
とにかく、あの子にかかわるのやめましょう」
というわけだった。
女子には木太郎がでっちあげたもとこの噂が
相当プレッシャーになっているようだ。
「おちた、どうだった」
くそたの問いに
「やはり、正直に書くべきだろう。
字数制限は、同じ言葉でクリアすればいいさ」と、
とんちんかんな答えをする。
しかし、
くそたも
「そうだよな。
わからないことはわからないから教えてもらう。
それが生徒の義務だ。
よし、ばっちりだ」と、
二人は自信ありげに互いの顔を見合わせた後、
「しまった。
選ばれたら勉強しなきゃいけなくなる」
と互いにうつむく。
「心配するな。君たち、10人だよ。
たった10人、そんな簡単なことなら誰でも書けるよ。
やっぱり、褒めるとこは褒める。
褒め尽くす。これだよ。
君たち、大丈夫、君たちは選ばれないから」
ホウセイが偉そうに言うと、
木太郎が
「同意。オタクわかってるね。さすが...」
といいかけて、
木太郎は口ごもる。
「いいさ、オタクでも。
君は仲間になれそうだ、
えーなんだっけ残りの二人。
名前忘れたよ。
とにかく、10代目の諸君、一緒に合格することを祈ろう」と、
ホウセイは偉そうかつ、
自信ありげに言うと、さっさと帰る。
木太郎はホウセイの後ろ姿を見て、
「あいつはただものじゃないぞ。
くそた、おちた。
これからはあいつを手本にしろ」
と木太郎も偉そうに言うが、
二人とも意味不明の会話に
イヤそうな顔をするだけだった。