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「3度目の正直なるか、もとめ」
もとめは自分なりに考え、
ある程度、自信を持った選択をしたつもりであった。
「はい。では、いきます。
ルから始めて、禁止ワードは「ン」で行きます」
「少しは考えたわね」
「えー、では、ルビー」
「えへへ、ルス」くそたがすぐ答える。
永久はわざと困ったフリをして、
カウントが始まったとたん、
「ルー」と答えた。
「何それだけ?」
と
ヒトメが訊くと、
「あんた黙ってなさい、
多分芸能人の名前想像してんでしょうけど、バカ丸出しよ」
と
アユメがヒトメのあたまをこずく。
「あれ、違ったんだ」と
言ってヒトメが舌を出す。
「えー、僕ですね、えー、じゃあ、ルッコラ」
と
ホウセイが言うと
「こいつ生意気にイタリアンか」と
木太郎が鼻をほじりながら言う。
「じゃあ、えへへへへ、もうだしちゃおう。
ルリカケスだ、どうだ」
と
木太郎が余裕で言うと
「そんなの定番だよ。珍しくもないよ」と
ホウセイが木太郎を見てにやりと笑う。
意外にルについては、みんな余裕があったので、
もとめは少し焦ってきた。
自分が考えていたのは
「ン」がついている言葉ばかりだったからだ。