「ご褒美をもらいに行く木太郎とホウセイ」
結局、アユメは無事に207号室での宿泊を乗り切った。
ゲームで疲れたのか意外にすぐ眠れたのだ。
早朝、木太郎とホウセイはもとこの部屋をノックする。
「はい、はい」
「おはようございます。ホウセイです」
「おはようございます。木太郎です」
「開いてるわよ、入りなさい」
木太郎とホウセイが部屋に入るとお香のにおいがした。
もとこは相変わらず、黒い服を着ている。
「ご褒美ね、何に決めた」
「えー、あの今回は持ってきてないんですが、
携帯カメラのSDカードが欲しいですけど」
ホウセイがおそるおそる訊く。
「もうあの画像は消したわよ」
「そんな、SDカード自体が欲しいんです」
「本当?」
「本当です」
「そう」
もとこは考える。
「僕はデジカメごと欲しいんですけど、
もちろん合宿が終わってからでいいんですけど」と
木太郎が突然ホウセイとは打ち合わせ
と違ったことを言う。
「それはいいわよ。合宿終わったら、あげるわよ」
とあっさり言う。
「でも、SDカードは自分で買ってね。
ホウセイくんにあげることにするから」
「えーいいんですか」
「しょうがないじゃない。
デジカメがなければ、SDカードもいらないじゃない」
「パ」
と
木太郎が言いかけると、ホウセイが木太郎の足を踏んだ。
「ありがとうございます。楽しみにしています。では」と
ホウセイが一言余計なことを言う。
「楽しみ?」
「僕の家は木太郎の家と違って、SDカードも買えないんで」
と
ホウセイはごまかすが、
「何でもいいわ。喜んでもらえるなら」
と
もとこは笑っていう。
「では、失礼します」
二人は頭を下げると、もとこの部屋を出ていく。
ホウセイと木太郎はホウセイの部屋に行くと、
「どうだ、俺の機転は」と
木太郎が鼻をほじりながら偉そうに言う。
「さすが、ずる賢い木太郎だ。今回は感心したよ」
「でも、オタクが楽しみになんて余計なこと言うから、
ひやっとしたよ」
「ごめん、うっかり」
嬉しそうなエロガキ二人だった。