「207号室行きのアユメと呑気な木太郎」
トントン。
「アユメさん、
私、もとこ。準備はいい」
と
もとこがアユメの部屋のドアを叩くと
もう準備をしていたアユメがパジャマ姿で出てきた。
「えーと、もう11時近いけど、
さっきお話ししたとおり朝は7時まででいいわ。
あとは、さっき言ったとおりね。
それから、非常用のこの無線ビル一応渡しておくわ。
どうしても怖くなったら押しなさい。私が助けにくるからね。
でも、これを使うと減点よ」
「はい。がんばります」
と
アユメは内心怖かったが笑ってそのベルを受け取った。
そして、207号室へ入っていった。
もとこは部屋に戻ると、にんまり笑った。
今日はすべて計画とおり、もとめを完全にはめてやった。
もとこが予想していた以上にもとめはもろかった。
これなら、明日の計画もうまく行くに違いないと確信していた。
露店風呂では、
木太郎とホウセイがもとこに何のご褒美をもらおうか相談していた。
「コンテストの時のSDカードは」
と木太郎が言うと、
「消したことになっているから、無理だろう」
と
ホウセイが答えると
「いや、消去したSDカードが欲しいんですと言えばいいんだよ」
と
木太郎が言う。
「そうか、もとこ先生のことだから、
とぼけてくれるかもな。木太郎、見かけによらず、賢いな」
「バカにしてるのか、褒めてるのか」
「両方だよ」
と
ホウセイが言うと、二人で笑い出す。
「明日もゲームやりたいなあ」
と後からくそたが顔を出す。
「僕も」
おちたもにやりと笑っていう。
永久だけはぼんやりしている。
「大丈夫だよ。永久はもう。ケツだしたから」
と
木太郎が冷やかすと、
「いや、油断はできない」
と
永久は真顔で答える。
「じゃあ、ゲーム参加しないのか」
と
くそたが言うと、
「参加はするよ」
と言って少し笑う。
「でもさあ、もとめ先生にはがっかりだよな。
整形デブにおバカだもんな」
と
木太郎が鼻をほじりながら笑うと、
「おい、もとこ先生に言いつけるぞ。
バレたら、ご褒美なくなるぞ」
と
おちたが脅かしたので、
木太郎は慌てて、浴槽を出ると、
つるんと滑って転んだ。