「ピンチのもとめ」
「タですね。タイセイ」
と
チウメが言う。
「どのタイセイ?」
と
もとこが訊くと、
「制度の方です」
「わかったわ。セね。セイケイ」
と
もとこが言うと、
木太郎が先に笑い出し、
その後、永久を除くホウセイたち男子陣が笑い出す。
女子たちはうつむいている。
もとめは何故笑っているか。
理解できない。
「もとめの番だからって笑わないの。
今度はがんばるのよ。
もとめ、
今度間違えたら、
本当におバカよ」
と
もとこの意地悪攻撃が続く。
「ケですよね。ケイケン、ええーまだよ、
ケイケンダン。わー」
と
もとめは頭を抱える。
「あんたねえ。
ケなんて一杯あるのにもう」
と
もとこが言うと、
木太郎が腹を抱えて笑っている。
くそたも蹴りを入れたいが
自分は笑いを抑えるので一杯だった。
「もう3回で終わるなんて、思っても見なかったわ。
それに、
もとめが負けるなんて。
もとめあんたは風呂にでも入って頭をクリーンにしてらっしゃい。
私達はまだゲーム続けるから」
と
もとこはもとめにわざと呆れた顔で言うと、
もとめは
「すいません」
と言うと、逃げるように部屋に戻る。
「ごめんなさいね。もとめはちょっとだけおつむの方が」
と
もとこはそう言って、
右手をパーの形にして、
また、
木太郎たちを笑わせる。
「さあ、今度はこうしましょう。負けた人が抜けて行って、
最後に残った人には私がご褒美をあげるわ。どう」
と
もとこが言うと、
「先生、私は、何時に207号室に行けばいいんでしょう?」
と
アユメが質問する。
「そうね。もとめがすぐ負けたから、
まだ、時間がたくさんあるからゲームが終わって
お風呂に入ってからでいいわよ」
と
もとこがやさしく言った。