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エルフさんのお弁当

作者: 無刻カイ

ちょっとファンタジーと現代を混ぜた感じのほのぼのな短編を書いてみたくなったので、楽しく読んでいただけたら嬉しいです。

 僕の名前はセルフ・セルヤード。高校1年生で、種族はエルフだ。


 昼休みの教室はいつも賑やかだ。オークやゴブリン達は大声で笑い合っていて、ピクシー達はヒソヒソと噂話をしている。僕は物静かで、あまり友達がいないけれど、一つだけ、楽しみにしていることがある。


「ふふ…よしよし…今日もかわいいぞ〜」


 お弁当箱を開け、中に詰まっていた色とりどりのお宝を見た瞬間、僕は微笑みながらそう呟いた。そう…このお弁当こそが、僕の唯一の楽しみであり、誇りでもある。なぜなら、毎朝自分で作っているからだ。


 僕は手を合わせ、「いただきます。」と言ってから箸を掴み、どこから先に食べようか悩んだ。やっぱり最初はおかずかな。今日は貴重なファイアー・ブルの肉で作ったハンバーグだ。有名なパーティーが狩ってきたものを期間限定販売していたため、先日、急いでスーパーへ向かい、主婦達に紛れてなんとか掻っ攫ってきた。


 僕はハンバーグを慎重に持ち上げ、端っこを噛んだ。舌の上に乗った瞬間に広がるこの肉の香ばしさ…程よく焦げていてカリッとした表面と、柔らかい中身のバランス…我ながらちょうどいい焼き加減だ。肉自体もとても上質で、非常に美味だ。


 僕はハンバーグの欠片を完全に飲み込む前に、白米を少し口に入れた。作物がよく育つと言われているウィンディー地方産のお米で、この柔らかさと甘みが、肉料理にぴったりなのだ。


 そして次は、ベルバードの卵で作った卵焼きを一口食べた。ふんわりとした食感で、まるで僕の乾いた心を優しく包み込んでくれるようだ。この独特な甘さも、ハンバーグによく合う。さすが、安くて美味しいベルバードの卵だ。


 それを飲み込んだ後に食べたのは、近所のヒーラーさんが育てている、治療効果抜群のプチトマトとハーブ。トマトの酸味と、ハーブの程よい苦味が、足りない味を付け加えてくれて、全体のバランスが保たれる。


 ああ、今日も僕のお弁当は最高だ。これを食べるだけで、こんなにも自信が湧いてきて、体も癒される。周りから「お弁当の妖精」と呼ばれていて、たまに変な目で見られる時もあるが、それでもいい。僕はこのお弁当のおかげで、毎日が楽しいのだから。


作中に出てきたオリジナル生物を紹介します。


ファイアー・ブル:燃える角を持った大きな牛。山奥のダンジョンなどに生息する。かなりレア。

ベルバード:黄色い翼を持ち、鈴の音のような鳴き声を発する鳥。大きさは軽自動車と同じくらい。

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― 新着の感想 ―
こういう多種族で和気藹々としている作品、好きです
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