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破軍のヘルメシヤ  作者: 三重野 創


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医は仁術なり

「ほ~れ、これでよし」

 ミドルが緒方病院で手当を受けている。


「ありがとうございます!」

 調子の悪かった左腕をぐるぐる回した。


「あんまり無茶をしてはイカンぞ」

 雲水が二人いるようである。


「は、はい。気をつけます」

 ふだん口幅ったいミドルも、緒方の言うことは素直に聞く。怪我を見事に完治してしまうからである。


「でも先生ってやっぱり名医ですよね」

 ミドルはそれまで、医者へのイメージが最悪だった。通っても全然治らず、「仁術じゃなくて算術」だと悪態をついていたほどである。


「何を言うとる。ワシなんかまだまだじゃよ」

 雲水と知らぬ仲ではない。それもそのはず、ミドルに緒方を紹介したのは、雲水である。


「いいですか、雑談に付き合ってもらっても」

 ミドルの目を見て、緒方は快く首を縦に振った。


「医が謀術になっている気がするんですよ」

 抑え気味だが、手振りに力がこもっていた。ミドルの言いたいことはこうである。プロミネンス下において、さまざまな情報が飛び交った。なにが医療的に正しい情報か民衆はわからず、医学史においてまっとうな治療法や医学知識が蔑ろにされている部分が少なからずあった。そしていまのこの惨状である。


「必勝くん。こういうのは酷じゃが」

 診察室の後ろには、人体模型が置いてあった。


「最終的な判断は個々に任されていたはずなんじゃ。あの人はこう言ってる、別の人は反対のことを言っている。が、かろうじて、強制では無かった」

 確かに、どこの病院へ行く、どんな治療を受けるかは個人の判断である。


「美味そうな話には罠があると思ったほうがいいですね」

 目の前に突然ご馳走を出されたら、何かあるのではないかとミドルは疑うほうだ。


「ただな、ワシが憤慨しているのは多剤投与じゃよ」

 基準値がみるみる変更になり、薬漬けにされてしまっている。


「心の病も増えていますよね」

 ミドルは悩みが無さそうで、意外とナイーヴである。


「そうじゃな。意図的に作られた状況と言える」

 やる気の根本を鎮静させ、押さえ込まれている。


「なんでこんなことになっちまったんだろ」

 ミドルがうなだれる。


「そんなに悲観することはないぞ。有徳な医師は各地におる。このままでは終わらんよ」

 ミドルはススムやウィル、キョーコのことを思い出していた。

ダウンな気持ちが続く街で、ミドルは立ち上がる。



貝原益軒【養生訓】

 医は仁術なり。仁愛の心を本とし、人を救うを以て、志とすべし。わが身の利養を専らに志すべからず。天地のうみそだて給える人をすくひたすけ、萬民の生死をつかさどる術なれば、医を民の司命と云う、きわめて大事の職分なり。


医療法第一条の二【医療の理念、医療提供施設】

①医療は、生命の尊重と個人の尊厳の保持を旨とし、医師、歯科医師、薬剤師、看護師その他の医療の担い手と医療を受ける者との信頼関係に基づき、及び医療を受ける者の心身の状況に応じて行われるとともに、その内容は、単に治療のみならず、疾病の予防のための措置及びリハビリテーションを含む良質かつ適切なものでなければならない。








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