ハンマーウェルディング(鍛接)
「拳で語るっていうのかしらね」
ミドルとススムは、殴り合うことで以心伝心している。
「言葉だけで友情は生まれないんじゃないかな」
音楽なら、小節で伝わる。
ウィルとキョーコの勝負も、中々決着がつかない。顔面はためらわれるので、ボディ中心になる。
「メシヤ先輩、どうだった?」
ススムも結果が気になる。
「瞬殺だよ。・・・俺がな」
思い出すだけでぞっとする。
「メシヤ先輩、鳩派っぽいのにな」
あくまでも、見た目のイメージである。
「やりあわないと分かんねーことって、あると思うぜ」
恐いものしらずのミドルが、武者震いした。
「なにビビってんだよ!」
ススムがミドルの頭を小突く。
殴られるのが怖いわけではない。そんな一瞬の痛みでは無く、この人に逆らったら、自分の存在そのものがかき消されるのではないかと、得体の知れない恐怖を感じたのだ。
「ま、メシヤ先輩は平和主義者なんだろうけど、俺はやっぱり違う考えだな」
非暴力主義が何を生んだか。
「結局さ、口だけ達者なやつが幅を利かせるようになるんだよ。ほんとだったら、ぶっとばされるようなことを口走っても、屁理屈をこねて言いたい放題になる」
危険な考えだなとススムは思ったが、ミドルの言うことは的外れでは無いとも感じた。
「ここは創作内だから言えるけど、あたしは体罰は必要だって考えよ。叱らない教育もけっこうだけど、犯罪行為をやらかしたら現行法でもきっちり処罰されるわ。そうならないためにも厳しく躾けないといけないのよ」
虐待と同じにされては困る。事件後に親は何をやってたんだと責めるなら、せいぜいビンタの権限は与えないといけない。
「暴力行為は減っても、その分中傷合戦や名誉毀損は爆増してるわ」
口で戦うしかないので、激しい罵詈雑言の応酬になってしまう。
「ところが、暴力行為もしっかり増えてるんだよな」
「なんとかさんに、『それなんかデータあるんすか?』って言われちゃうぞ」
データ改竄をいやというほど見せられてきた我々は、何を信じたらいいのか。
「力も使わなきゃ、国は守れないわよ」
警察力まで失ったら、いったいどうやって暴漢から国民を守るのか。
「もっと話を簡単にしようぜ。こいつは絶対殴ってこないって思われてたら、相手の思うツボなんだよ」
ファイティングポーズは、伊達じゃない。
「ミドル、そうカッカすんなって。オレはバトル終了後に仲間になった、ピッコロやベジータみたいな関係が尊いと思うぜ」




