必勝(ひちかた)さんちのミドルくん、このごろ少し変よ
「ヒッショー、メシヤ先輩のことは甘く見ないほうがいいわよ」
仮にも、ドゥニア・ゲランガンで決勝まで行ったミドルである。だがキョウコはメシヤに対して、底知れないものを一瞬で感じ取っていたのだ。
「へへっ、その方が燃えるってもんよ」
野菜は特別好きなほうではないが、ミドルは戦闘民族である。
(オレなら絶対メシヤ先輩に喧嘩は売らないな・・・)
ススム、それが賢明だ。
「あたしたちの任務のためにも、避けられないからね」
キリアテヤリムの櫝は、メシヤと不可分の関係である。
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「ちわー」
単身、めし屋フジワラに乗り込むミドル。
「いらっしゃいませ!」
マナが元気よく挨拶するや否や、客の雰囲気に気圧されてしまった。
「メシヤ先輩と手合わせ願いたいっす」
ミドルは恭しく、抱拳礼でお辞儀した。
「また変なのがあらわれたわね」
出入りには慣れっこのマリア。
「メシヤ、逃げたら男が廃るヨ!」
訳知りなのか、余裕のエリ。
(あっ、このあいだ走り縄跳びしてた人だ!)
「俺らのメシはいいから、行ってこいよ」
イエスも他人事だ。
「メシヤさま、わたくしたちはここで見護っていますわ」
なぜこの状況でニコニコしていられるのか。
「僕ってそんな立ち位置だっけ?」
メシヤは自分の立場をあまり把握していないようである。
「さあさあ、どうするんすか、先輩!」
「OK。ちょっと、待ってて」
決戦は金曜日だった。藤原家裏庭にて、両者が対峙している。
「メシヤ先輩。俺は自分より弱いやつにへつらうってのが、どうしても出来ない性格でしてね」
雲水からメシヤのことを散々聞かされているのだろう。
「それは至極当然のことなんじゃないかな」
自分のことを言われていると気付かないメシヤ。
「一瞬で終わらせますよ」
ミドルは引いた右拳を震わせた。
ミドルが数メートルの間合いをカンマ1秒で詰めた。
「あっぶな!」
メシヤはまぐれなのか寸前で避けた。
「お姉さま、見えましたか?」
「うン、でもあれじゃメシヤには当たらないネ」
メシヤの意に反して、臥龍剣と鳳雛剣が光を放った。紅と紺碧の結界が、メシヤをシールドする。
素手の戦いに卑怯だとの声が聞こえそうだが、ドラクエⅢの勇者と武道家の戦いと思って欲しい。
ミドルがコイルガンを発動させる間もなく、勢いよく吹っ飛ばされた。
「あ~あ」
手加減しなさいよという表情で、マリアが哀れむ。
「おい、大丈夫か?」
イエスが抱き起こす。
イエスに介抱されて、目を覚ますミドル。
「す、すげー!」
ミドルの鼻っ柱を折るには十分の一撃だった。
「こんなとっぽい感じなのに、メシヤ先輩って強いんですね!」
まだ未来のある少年。礼儀も順に身に付けていくだろう。
「ミドルくんさあ」
「は、はいっ!」
「あんまり喧嘩っ早いと、寿命を縮めるよ?」
ミドルがはにかむ。
メシヤを護衛する面々は、チームが分かれている。
ミドル、ススム、ウィル、キョウコの四人は、破軍のヘルメシヤを構成する。




