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破軍のヘルメシヤ  作者: 三重野 創


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腹を割って話そう

「だいぶあたたかくなってきたな」

 ミドルが道着を脱ぐ。


「僕もさ」

 ススムが袖をまくり上げた。


「うわ~、あんたら中1ですでに筋肉バカね」

 お肉の手入れにサインの練習も怠らない。


「見事な蟹腹ね」

 キョウ子も競いたいところだが、さすがに止めておこう。


「どうやったらそんな腹になるのよ」

 これだけ聞くと中年太りしたように思われる。


「普通の腹筋はやらないかな。負荷が軽すぎるし効いてる感じがしないよ」

 ドン、と自分の腹を殴るミドル。


「見たこと無かったっけ? 外に雲梯みたいのがあるんだけどさ。あれを使ってるよ」

 ススムが表に向かって案内した。


「僕はもっぱらドラゴンフラッグ。ベンチ台とかだと動きそうで危ないんだよね」

 ススムは軽々と高難度のドラゴンフラッグをやってのけた。


「ヒューマンフラッグよりも難しそうね」

 そういうウィルもススムほどではないが、クリアできた。


「ヒッショーは?」

 キョウ子はやたらとミドルに対抗意識を燃やす。


「俺はあれだな。正式な名前は知らないけど・・・」


 雲梯のハシゴに向かって屈んだかと思うと、柱を掴んでひっくり返り器用にカラダを持ち上げた。さらに両脚を倒してバランスを取った。


「キッツそう~!」

 粗品のツッコミのような手つきをするウィル。手は口元だが。


「背面逆懸垂だな。僕はちょっと苦手」

 とんでもない負荷が腹筋と背筋に加わる。だが、効果は覿面だ。


「ありとあらゆる筋トレグッズがあるけど、これがベストね」

 ※大怪我のリスクを伴うので、十分注意すること。


「腕の力も付いて逆さだから内臓にも効くし、好きなんだよこれ。なにしろ気持ちいい」

 逆立ち健康法の更に先を行ったトレーニングだ。


「事故が多発してこういう遊具が撤去されたけど、さみしいわね」

 ウィルもかなり、多動な幼少期であった。


「公園で遊ぶな、とかな」

 ミドルは《やってらんねー》とでも言いたげだ。


 昭和の授業風景が異様に映る。車を規制するのでは無く、当たるのが前提で、受け身の練習をやらされていたものだ。


「知の時代って言われてたけど、それが成熟するといまみたいにズルいことばっかり考える奴で溢れるんだよな」

 端的に言うと、身体感覚が失われた結果である。


「やっぱり鍛えないとな!」

 ミドルが雲梯の上を逆立ちして歩き出した。


 彼らに健闘を祈る。

 血の時代を来させないためにも。






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