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破軍のヘルメシヤ  作者: 三重野 創


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35/53

鉄棒先生

 雲水翁の道場には、トレーニングマシンの類いは置いていない。代わりに、原始的な自重鍛錬向けの器具がある。


「俺が思い描く理想の肉体美は、断然体操選手なんだよな」

 彼らは、ウェイトトレーニングを一切しない。


「飛んで跳ねて、捻って回って、あたしたちが学ぶことも多いわね」

 バルマンもそうであったが、ハローデン王国の人々は、俊敏性が優れている。ウィルもかなりはしこい。


「体操選手に倣うなら、鉄棒が取っつきやすいわよね。身近だし」

 キョウ子の道場では、天井からぶら下がっているロープに逆さ伝いで上り下りするウォーミングアップがあった。


「鉄棒なら得意だぜ」

 ススムが一歩前に出た。


「へえ。見せてもらおうじゃないの、アーミー」   

 キョウ子は、登場人物すべてにあだ名を付けるつもりだろうか。


 自信たっぷりの笑みを見せると、ススムはぶら下がりの腰つきを始めた。

「よっ」

 なんなく蹴上がりを決める、切り込み隊長。


「からの~」

 ミドルが合いの手を入れる。


「リューキン!」

 F難度の大技を決めるススムに、ウィルが歓声をあげた。


 続けざまに体を伸ばしたまま、後方へ2回宙返りひねりを演じた。

「もっとやって、ミヤーチ!」

 キョウ子もすっかり観衆の一人である。


 大味で荒削りだが、オリンピックでもほとんど見られない大技は、ここに受け継がれていた。


「ススムは中1の腕の太さじゃないからなあ」

 夏場は因縁をつける連中もいないだろう。


「ミドル、あんたも負けてらんないんじゃない?」

 ハッパをかける、若きプリンセス。


「これは見ものね」

 親指と人差し指で顎を触るキョウ子は、熊手というより猫手だった。



 大車輪で助走を付けるミドル。兄妹弟子たちの大方の予想は、どうせ遠くへ飛びすぎてしまうだろうというものだった。


「ちょっと、ちょっと! いつまで回ってんのよ!」

 延々と大車輪を続けるミドルに、ウィルがしびれを切らした。


「それがさ、手がくっついて離れないんだ!」

 磁気体質が裏目に出た。


「これでは道化ね」

 あきれるキョウ子。


「失望した! 読者の期待を裏切る主人公に失望した!」





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