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破軍のヘルメシヤ  作者: 三重野 創


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33/53

正しき者と正しからぬ者

雲水翁は初めからこうなることが分かっていたのではないか、とミドルは思い始めていた。老師の周りに集まってくる同年の弟子たち。同じ学校の同じクラスでともに学び、鞄を放り出してからは、厳しい鍛錬に励む。


そして、あの男。アカーキー・アカーキエビッチ。


《おぬしら、何かいらぬ心配をしておるようじゃが、雲水流は活人拳であることを忘れるでないぞ》

 雲水流は、相手を屈服させるのではない。向かって来た相手を改心させ、和合する拳である。




「なんかさ、どんな極秘指令が出るのかと思ったら、ちょっと拍子抜けだよな」

 ススムは、左拳を一呼吸で10往復させた。


「あたしはまだ信用していないわね、あの男を」

 いったい、ウィルとアカーキーのあいだに何があったのだろう。


「ウィリー、わたしはそこまでよこしまなモノは感じなかったわ」

 キョウ子はあだ名を付けるのが好きなのだろうか。


「赤秋少佐の話は俺も納得だったけどね」

 ここにもいた。


「ああ、あれな。軍人っぽくはないよな」

 アカーキーは、闘う者の心構えを四人に説いた。


「王様の耳はロバの耳、ね」

 怒りをコントロールするには、気持ちだけで押さえ込もうとしても到底無理である。だが、ところかまわず喚き散らして攻撃的になっていては、自分の立場を追いやられるだけである。


「『一人きりになった時に、ありったけの大声で怒りを爆発させろ』と、少佐は言った」

 高速道路を移動中の車内なら、具合は良いだろう。布団にくるまって叫ぶのも良いかも知れない。


「それは言えてるかもね・・・」

 悔しいが、因縁の相手は正しいことを言っているように思えた。


「言わなきゃ良かったって思うこと、あるわよね」

 キョウ子は、拳の上に顎を載せた。


 直接相手に言っている訳ではないので、現実は何も変わらない。多くの人がそう思うだろう。だが、一人で怒りを発散させた後、自分自身の精神状態は大きく異なっている。力で制圧したところで、こんどは自分が攻められる立場になる。ガスが抜けた後は、件の相手への対応もクールダウンしていることだろう。


「最近よく思うんだけどさ」

 ミドルが口を開いた。


「絶対に変わらないと思っていたものが、ドンドン変わっていってる感じがするんだよね。良くも悪くもなんだけどさ」

 歩み始めることで、地球の景色は移ろいでゆく。






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