団子3兄妹
「オレらって全員、花より団子だよな~」
花見シーズンを前にして、ススムがつぶやいた。
「失礼ね、あんた達と一緒にしないでよ」
食べ盛りのウィルであるが、ミドルやススムほど食い意地は張っていない。
「あっ、屋台があるよ。行ってみよう!」
ミドルは目が良い。
「おっ、兄ちゃんたち、いらっしゃい! どれも熱々で美味しいよ!」
ねじり鉢巻きをした、屈強そうなおじさんだった。
「へえ、色々あるのね。鯛焼きも捨てがたいけど、さっき話に出たせいで、お団子気分かな」
ウィルは、まだ団子には馴染みが無い。
「出世団子に、醤油団子か。ミドルはどっちにするんだ?」
ススムは特にこだわりは無かった。
「え~っと、出世団子は甘いんだろ? ホントは醤油がいいんだけど、出世するかもって思うとこれもいいな」
おやおや。
「お前、そんなの気にしてんのかよ!」
ススムが小馬鹿にして囃し立てた。
「ミドル、ススムくんの言う通りよ。いま出世団子が食べたい気分でそれを選ぶのなら、何も文句は言わないわ。でも、醤油団子が食べたいのに、出世って言葉につられて醤油団子を買わないだなんて、ナンセンスだわ」
ウィルはぴしゃりと嗜めた。
「ミドル。こういう話ってさ、そこら中に転がってる気がするぜ。中身がどうであろうと、手練手管を使って人間心理を突いてくるんだ。宣伝・広告なんて、その最たるものだぜ」
「ふたりともそこまで考えてるってスゴいな。俺はまだまだだなあ」
ミドルは頭を掻いた。
「でも、安心してね。わたしは甘いのが好きだから、出世団子を買うわ。ミドルとススムくんにも分けてあげる」
ウィルが天使に見えた。
「「わあ、ウィルは出世間違いなしだ!」」




