戦場のハッピーニューイヤー
「ススム、あいつなんだか異様な雰囲気だぜ」
すでに決勝進出を決めているミドルが、準決勝戦を控えたススムに声を掛ける。
「ここまで来たんだ。おじけづいて帰るわけにもいかないしな」
気合い十分、前へ前へと進むのみだ。
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アウグスト・ヘルマン・ニーマイヤー。異名は簡潔に、「壊し屋」である。
ススムが先手を打った。土手っ腹に一発決めると、勝利を確信したのか、胸と腹部の急所をありったけ殴り倒した。
ヘルマンがススムの上にグッタリと乗りかかった。ススムの口元がこぼれる。
「おい、ススム! 逃げろー!」
慢心のススムに、ミドルの声が届いていない。
小兵ススムはパワーボムで軽々持ち上げられ、マットに沈められた。
口から血を吐きながらも、よろよろと立ち上がるススム。
「お前、もしかして自分がまだ死なないとでも思ってるんじゃないかね?」
ススムの全身に悪寒が走った。
ススムは顔の左側面を殴打され、首が飛んだかとおもうほどの衝撃が走った。全身をバラバラにしてしまいそうな鈍い打撃音、死の狂騒曲が、止まらない。
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医務室でススムの変わり果てた姿を見つめているミドル。かろうじて、まだ息はしている。
どのツラを下げて、という言葉がふさわしいだろう。ヘルマンがススムの病室にやって来た。
「お前が決勝の相手か。ああなりたくなかったら、とっとと荷物をまとめて帰るこったな」
いまにも殴りかかりそうなミドルを、ウィルが止めた。ヘルマンは気にするそぶりもなく、立ち去った。
「ミドル・・・」
泣き出しそうなウィル。
「ぼくは、ぼくは・・・、あの人に勝ちたい!」
ミドルは、掌外沿を激しく壁に打ち付けた。




