科学的におこなう原始的トレーニング
「漫画でよくある対立構造で、科学的トレーニングを取り入れた強豪校と、熱血が取り柄の弱小校っていう設定があるよな」
ミドルが好きな野球漫画を読んでいる。
「ロッキー4もそんな構図だったな。科学的なトレーニングのドラゴと、アナログなトレーニングのロッキー」
ススムはどちらかというとデータ重視だ。
「時代の流れに乗っかれば、デジタルを駆使した科学的トレーニングってことになるんだろうな」
「お前、思ってもいないことを言うなよ」
ススムはミドルの考えそうなことは百も承知だ。
「科学的トレーニングって言うけど、過去にある成功例を無視してるというか、避けてる感じはあるなあ」
ミドルがこういうのは、何百年、何千年前の書物をひもとくと、現代では考えられないような肉体的躍動を魅せた英雄達の記録が、頻出するからである。
「その点、我らが雲水翁は科学的にアナログトレーニングをおこなう稀なお方だな」
世間的には、科学的にはやりのトレーニングを行う指導法であふれている。
「科学的トレーニングって、すぐ限界を作るんだよね。この辺で休めって。反面、無茶なウエイトを担ぎすぎたりもする」
雲水翁の道場には、ジムに置いてあるようなマシンは一切無い。
「このあいだミドルが言ってたことだけど」
「なんだっけ?」
「機械にやらせておけば仕事がどんどん楽になるけど、って話」
「アレな。機械は機械でどんどん改良させればいいと思うけど、俺は自分のカラダを鍛えて、自分の性能をあげることに興味がある。そうすれば疲れにくくなるし、稼ぎも増えるだろ?」
ミドルの思考は、現代人に薄れつつある。休みを増やしたければ、所得が減ることも受け入れなければならない。
「それとさ、俺がウェイトトレーニングを筆頭に、科学的トレーニングを拒絶するのはーー」
「「好きなものが食えなくなるから!」」
食い意地の張った二人が、腹並を揃えた。極度の低糖質・低脂肪の食事は、育ち盛りのヤンチャ・ボーイズには耐えられない。




