晴耕雨読
「雨だな」
手で頭をおおうミドル。
「だな」
坊主頭からちょっぴ伸びた程度のススムは、体感温度が低くなる。
「晴れの日はじっちゃんの畑を耕したりできるけど、こんな日はトレーニングは休みだな」
「風邪引くといけないからな!」
二人は意気投合した。
「コラコラ、こんな時こそ、頭のトレーニングでしょう!」
ウィルがお小言をいう。
「俺らはウィルとは頭の出来が違うからさ~」
はぐらかすミドル。
「ミドルは分かるけど、ススムくんは勉強得意だったよね?」
いきおい、ススムの方を振り返るミドル。
「得意ってほどじゃないけど、家が厳しくて勉強はみっちりさせられてたからね」
授業に出ていればススムの秀才ぶりは分かろうものだが、ミドルはほとんど睡眠学習に費やしている。
「裏切ったな、僕の気持ちを裏切ったな!」
ススムのことを自分と同じくマッスルヘッドだと思っていたミドルは、ショックを受けた。
「俺にとって武術と学問は等価なんだよ」
ススムは少しキザっぽく言う。
「ススムくんはよく雲水翁の書庫にこもっているものね」
ウィルは同じ内弟子のことをよく見ている。
「うん、あそこは毎日いてもあきないよ。老師は現代のニッコロ・デ・ニッコリだな」
「ニ、ニッコロさん?」
聞き慣れない言葉を使う兄弟子は、ミドルの知っているススムと違って見えた。
「ミドル、あんた格闘のほうはちょっとばかし自信あるみたいだけど、ボヤボヤしてるとススムくんに追い抜かされちゃうわよ。雲水翁の書庫には格闘の手習い本もあるんだから」
ウィルがハッパを掛ける。
「まあ、勉強もやってみると楽しいぜ」
ススムはニッコリ微笑んだ。




