ずっとこの幸せが俺は続くモノだと思い込んでいたのだが、、、そうじゃなかった。
ずっとこの幸せが俺は続くモノだと思い込んでいたのだが、、、
そうじゃなかった。
俺の妻とは元々、“同級生”で高校一年生の時に初めて彼女と付き合った。
あれから20年! 俺と彼女の間にも子供がデキて幸せな生活を送って
いたのだが、、、。
ある日、彼女が朝食を作っていた時に急に彼女が倒れる。
彼女はそのまま救急車に運ばれ病院へ。
俺もその日は、急遽仕事を休んで彼女付き添うことにした。
子供達は学校があるからそのまま学校へ。
医師からは、【軽い脳震盪ですね】と言われる。
その後、妻も意識を戻りそのまま俺と一緒に家に帰った。
俺は妻が重い病気ではないと少しホッとしていたのかもしれない。
妻もいつもの元気だった妻に戻っていたからだろう。
*
・・・でも? 半年後!
妻が急におかしな事を言い出すようになった。
『“ああ~お腹空いたわ~直ぐに晩ごはん作りますね!”』
『えぇ!? 先食べただろう! どうしたんだ?』
『・・・えぇ!? そうだっけ? 忘れてたわ。』
『忘れてたって、つい数十分前の話じゃないか。大丈夫か?』
『大丈夫よ、少し疲れてるだけですよ。』
『・・・そ、そう、じゃあ今日は早めに寝るといいよ。』
『そうね、ありがとう!』
俺はあの時、あまり深く考えていなかった。
まさか? “妻が若年認知症”になるなんて思ってもみなかったんだ!
それからというもの、妻はどんどんいろんな事を忘れていく......。
俺はさすがに、これはおかしいと想い妻を大きな病院で診てもらう事に、、、。
そうしたらやっぱり、俺は医師にこう言われてしまう。
『“あなたの奥さんは、若年性認知症です。”』
『えぇ!?』
『このままいけば、どんどんいろんな事を忘れて、最後には自分の名前も
何もかも忘れてしまうかもしれません。』
『・・・せ、先生! 妻の病気は治らないんですか?』
『“進行を遅らせる事は出来ます。”』
『もう元には戻らないんですか?』
『勿論! そういう薬もありますが、まだ直ぐに使える薬ではないんです。』
『・・・つ、妻は俺の事も忘れるんですか?』
『“そのうち、自分の事も忘れるでしょう。”』
『・・・そ、そんな、なんで妻だけが、』
『取り合えず! 出来るだけ奥さんの傍に居てあげてください。』
『・・・あぁ、はい、』
・・・それから、妻の認知症は日に日に進んで行き。
もう俺の名前も顔も憶えていなかった。
毎日、妻が朝起きて俺の顔を見ると? 完全に赤の他人で、何故知らない人が
一緒の家に居るのか不思議がるんだ。
そのうち、怒りだして俺にこう言うんだよ!
【なんで知らない人が家に居るのよ! 早く出て行って!】
俺は辛くて泣きそうになるところをグッと堪え、妻に優しく話しかける。
【俺はキミの夫だよ、ほら? 憶えてない?】
凄い剣幕で俺に妻はこう言い返す!
【知らないわよ! 早くこの家から出て行け!】
俺はこれ以上、何も言えず、、、。
子供が居る時は、子供に代わってもらって心を落ち着かせるようにしているんだ。
・・・妻の記憶から、“俺との大切な想い出も全て消えてしまったのだろうか?”
あんなにお互い好きで付き合った事も、初めてのデートも、夏花火も、想い出
はすべて消えたのか?
俺との楽しい想い出はもう思い出す事もないのか?
そう想うと? 俺は妻を夜寝付かせてから一人で酒を飲みながら泣く毎日。
でもたまにだが、“妻が俺の事を想い出してくれる時もあるんだ!”
【拓海、今日の晩ご飯なに食べる?】
【えぇ!? い、今、俺の事! 拓海って言ったか?】
【言ったわよ! “私の夫の拓海でしょ!”】
【・・・あぁ、俺はお前の夫の拓海だよ、】
【なんでそんなに泣いてるの? 一体、どうしたのよ!】
【泣いてないよ、泣いてないって!】
【バカじゃないの~】
【そうだな、俺はバカだよ、バカだ!】
ほんの細やかな幸せの為に、俺は妻と一緒に居るのかもしれない。
妻がまたいつか? 俺の事を想い出してくれるかもしれないという
喜びの為に、今日も俺は妻と生きる事をやめない。
最後まで読んでいただいてありがとうございます。