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1 around【4~5】ノエル、消される!?

孤児院からガスターク家に引き取られた直後、【4】~【5】話あたりのノエル視点のお話です。

ノエルはまだしゃべれません。


馬車にのって、ノエルはこじいん(孤児院)からミレーぅのお家にお引っ越しした。

ミレーぅが住んでるのは、きらきらしたでっかいお家だ。

お兄さんのミラぅドは、すごくエライ『きぞく』だそうだ。



ミレーぅは、ノエルをお部屋に案内してくれた。

「ノエル。ここがあなたのお部屋よ。まだ少し殺風景だけれど、これからノエルの好きな小物やお洋服をどんどん揃えていきましょうね!」


うわぁぁ。お部屋のじゅうたん、フカフカだー。

お花模様の緑色のじゅうたんは、お花畑みたいだ。

気持ちよさそうだったから、寝っ転がってぬくぬくしてみた。


「うふふ、ノエルったら。絨毯じゃなくてベッドで寝ましょうね」

ミレーぅが抱っこして、ベッドに寝かせてくれた。ミレーぅは、お花みたいな良いにおいがする。


ベッドは、じゅうたんよりもフカフカだった。

こじいんの、板みたいなベッドと違う。……『きぞく』、最強。


「困ったことがあったら、ベルを鳴らしてメイドを呼んでね。……って言いたいところだけれど、言いたいことを伝えるのが難しいわよね? しばらくは、私が付きっきりでノエルの面倒を見るわ。むしろ見させてくださいお願いします」

「……?」


ミレーぅは生唾をのみこんで、目をキラキラさせている。


ココロを読んでみたら、『推しのお世話ができるなんて、なんて幸せなの――!?』って叫んでた。

『おし』ってなんだろ。

ま、いっか。



   *


ガスターク家のきぞくは、ミラぅドとミレーぅの2人だけなんだって。

他にもいっぱい人がいるけど、みんな『使用人』っていう働いてる人なんだってさ。


妹のミレーぅは、いつもニコニコしてて優しい。

でもお兄さんのミラぅドは、よく分かんない。


ミラぅドはいつもおすまし顔で、しゃべる言葉もむずかしい。

ココロ読もうとして『じぃー』っと見てると、「失礼だからやめなさい」と言われてしまう。


だからノエルは、ミラぅドにあんまり近寄らないようにしてる。

『絵の納品のーひん』をしにいくときだけは、会わなきゃいけないけど。




ミラぅドは苦手だけど、ミレーぅは好きだ。


メイドさんたちが、「ミレーユ様のお手を煩わせなくても、ノエル様のお世話はわたくしどもがいたしますので」って言ってたけど、ミレーぅはノエルのお世話をメイドさんには任せなかった。


「少なくともノエルが新しい生活に慣れるまでは、ずっと寄り添っていたいのよ。この子はまだ喋れないし、これまでの暮らしを思うとどうしても放っておけなくて」


お引っ越しした日からずっと、ミレーぅはいつもそばにいてくれる。

おいしいご飯くれるし。

お着替え手伝ってくれるし。

寝るとき子守り歌してくれるし。

お仕事してるときも、同じお部屋にいさせてくれる。

ずっと一緒は、なんだかうれしい。


今も、ミレーぅはノエルとお散歩してる。

おっきい『庭園てーえん』で一緒にお花を見てると、ミラぅドがやってきた。

「今日もノエルと一緒なのか?」

「ええ。この子、お花が好きみたいなので」

「……まるで母親だな」

「え!? そんな年齢じゃありませんよ。せめて『お姉さん』と呼んでください」

「いいや。子煩悩な母親にしか見えないよ」

「またお兄様は、そういう嫌味ばかり言って……」


文句を言ってるミレーぅを見ながら、ミラぅドはイジワルっぽく笑っている。

でも、なんだかミラぅドは幸せそうにも見える。


(……ココロ、読んでみよっかな)

と思ってノエルはミラぅドを『じぃー』っと見た。

今はミレーぅとおしゃべりしてるから、じっと見ても怒られないと思うし。


じー……。


ミレーぅは気持ちが顔にすぐ出るから、ココロ読むのもラクなんだけど。

ミラぅドは、ぜんぜん顔に出ないから難易度ナンイド高め。


じー……。

お。じわっとココロの声、聞こえてきた。



〝――慈母のようなミレーユを愛でるのも、悪くないな〟



おぉ?



〝――ミレーユが子供好きとは知らなかった〟

〝――あの幼かったミレーユが、こんな表情を見せるようになるとは〟



おぉ。


〝――愛おしくて、たまらない〟



ミラぅド。ミレーぅのことが、ものすごく好きらしい。

顔に出ないけど、けっこうイロイロなことを考えている。




〝――私が実の兄ではないと彼女に告げられたら、どんなに良いだろう〟

〝――ミレーユ。愛している〟





おぉ。

すきゃんだる……。



そのあと『政治せいじがどーだこーだ』みたいなことも、ミラルぅドはいっぱい考えてたけど、むずかしくて分かんなかった。


でもミラぅドはミレーぅのことが本当に大好きなんだな、っていうのはよく分かった。



おすまし顔のこわいお兄さんだと思ってたけど。

意外と、いい奴みたいだ。

ちょっとだけ、ミラぅドのことも好きになってきた。



ミラぅドは、ノエルにも笑いかけてきた。

「ノエル。困りごとがあったらすぐに伝えるといい。お前に期待しているよ」

(うん……。ありがとミラぅド)



……しかし!

ノエルは、ミラぅドのココロ、聞いてしまった!!


〝――それにしても、ノエルが幼女だったとは驚いた。年頃の男だったら社会的抹殺さえ視野に入れるところだったが。〟



がーんっっ!! まっさつ!?




(ノエル、幼女でよかった……!)


ミラぅドおすまし顔なのに、かなりエグイこと考えてる。


「? ……どうした、ノエル」

「あら、顔色が真っ青ね。お部屋で休む?」


ガクブルしているノエルを見て、ミラぅドとミレーぅがふしぎそうな顔をしていた。


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