八橋祭
君たちは、不思議な体験をしたことがあるだろうか
動くはずのないものが動いたり、そこにいるはずのないものが見えたり
あるいは自らが夢の中のような不思議な世界に迷い込んだり
この世の中には常識だけでは説明できないようなものであふれている、と僕は思っている。
そんな彼も現在進行形で難解かつ不可解な現象に蝕められている。
胃の中を得たいのしれない何かが動きまわり、口の中から生まれ出そうな間隔に陥っているよう
視界は並行を保つことがやっとで、体は言うことをきかないみたいだね。
「っっぉえ、、、あーきもちわりぃ」
そう、彼は会社の呑み会の後キャバクラに行き、たらふく酒を飲んだ帰りに
ただ、、吐きそうなだけのしがない会社員である。
「くっそ、あの女あそこまで粘ってアフターNGとかありえねー」
あぁ、だめだ吐きそう。もういっそその辺に。。。
いやいやまてまて俺、そんなことしてはいけないって昔栄さんちのじじいに言われたろ
あれ、というかここどこ、確か店を出てそのままタクシーで家の付近まで来たはずなんだけど
っぉぷ。。やばいもう。。
俺は冷静さを保ち、どこだかわからない道を歩きつづけた
傾きつつある視界の中に、ふと見覚えのある建物が見えてきたのに気づいた。
「ん・・?あれはたぶん、公衆トイレだ!!」
やったぞ、これで俺はまっとうな人間としてお便器様に供物をささげることができる!!
男子トイレには入り口に小さな手洗い場、その奥に2つ小。
その奥に1つ、俺が求めている楽園の入り口があった。
「安心してきたら、やばい。。。もうダメだ!!」
俺は扉を勢いよく開け、そのまま便器の中に吐き出した。
ここで俺は胃の中を吐きながらとあることを考えていた。
(あれ・・・今目の前に誰かいたような)
赤い着物?のような衣服を着た、小さな女の子が。
いやいや、ここ男子トイレだぞ
それに鍵かかってなかったし、それにこんな時間だぞ
こんなところに、ねぇ、そんな小さな、ましてや女の子なんているわけないでしょう。
酔っ払いは幻覚なんて日常茶飯事です、うん、そうだそうだ。
俺は自分にそう言い聞かせ、第二波に備え、一度水を流そうとレバーに手を掛けたとき、
冷たい金属とは違う、何か微妙な熱を持つあるものに触れた。
手だ。俺の手とは別に手がある。
俺はその手が自分の右側から伸びていることに気づきゆっくり視線を動かした。
そこには、小さな女の子が立っていた
「お前、大丈夫か。?」
目の前に立つ女の子がそうつぶやいたと同時に、
俺は驚きと恐怖のあまり、あろうことかその子に向かって第二波を暴発してしまった。。。
そして俺は一目散にその場から逃げ出した。そこからの記憶はなく
ただ必死にその場から離れようと足を動かした。
人間の帰省本能は大変優秀で気が付いた時には、太陽の日の光に当てられ
自分の部屋で俺は目を覚ました。
昨日会社に向かう日の朝となんら変わらないいつもの俺の家だ。
「昨日俺は一体、、、そうか家にはちゃんとついていて夢をみていたんだな
そうだそうだ、さてそうと決まればいったん起きますか」
俺は、しばらく禁酒することを決意し体を起こした。
「おい・・・」
部屋の中で声が響き渡った。
どこか聞いたことのある幼い声だ。
「・・・。何も聞こえない何も聞こえません。」
「おい・・・お前」
確かに声が響き渡る、家にはもちろん俺しかいない
「あれ、、なんか後ろから声がするんだけど。。。」
気のせいと信じそのまま洗面台へと向かおうとしたその時、
「聞こえているのだろう!!!こっちを向かんか!!」
その声と同時に俺の体は前とは反対の方向に向き、
目の前に立つ、赤い着物を着た小さな女の子と目があった。
「お前・・・童の問いかけに耳を貸さぬとはいい度胸だ、さてどうしてくれようか」
女の子の手には、小さな小刀が握られ刃は、、、俺のほうを向いている。。。
「いやぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
俺は聞いたことのない悲鳴を上げ、そのまま意識をなくした。