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孤児院の青年(7)
よろしくお願いいたします。
あの盗人のおかげで警戒する冒険者と気を抜く冒険者の二種類に分けられた。
絶好のチャンス。今のうちに冒険者から金品を奪ってやる。
クローは再び気を入れ直し、慎重に気の抜けた冒険者に近づいていく。スルスルっと冒険者に間に入っていき、鮮やかな手つきで冒険者から財布を盗んでいく。
一通り盗み終わると、そそくさと酒場から出ていく。
これがクローのやり方である。このスキルを身に着けるためにどれだけ冒険者に殴られたかはまた別の話。
酒場のすぐ前に先ほど冒険者たちに袋叩きにされていた男が丸まって倒れていた。
顔は無数に晴れ上がり、体には痣がちらほら見えていた。
「ち、ちくしょう・・・」
男は泣きながら腹を抑え、腹を鳴らしていた。
スラム街の人間か。しかしいつ見ても酷いもんだな。
クローは憐みの視線を向けるが、方向を変えて孤児院へ戻っていった。
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