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孤児院の青年(5)
よろしくお願いします
日が沈み、町には電燈が付き始め昼とは違う家から漏れる笑い声。それとは裏腹にスラム街は閑散としていた。
光と闇。それを形として表したように真逆の世界だ。
孤児院にはろうそくの明かりが朧気に中を照らしていた。
子供たちは一か所に集まり寝息を立てている。
それを尻目にクローは窓を使って孤児院から出て行った。
町までは走れば丁度いい冒険者の多い時間帯につく。
ただそこまで行くのには一つ注意すべき点がある。
それはスラムに住む住人にできるだけ会わないことだ。仮にあったとしても関わらないことだ。
彼らは常に金を求めている。ましてやクローのような身なりの人間は格好の的。絡まれても仕方がない。
故に会いたくはないのだ。
しかし今回は運がいいことに誰にも出会わずに町につくことができた。
町は酒に酔った男たちと酒場から漏れる怒号と喧騒で溢れていた。
「今日もガッポガッポ稼がせてもらうぜ」
クローは腕を鳴らしながら笑った。
お読みいただきありがとうございました。
アドバイスなど頂けると幸いです。
次回から午後7時に投稿する予定です。