第8話:来訪者
「もちろんです」
「じゃあここで待っててくれ。荷物置いてくる」
「いえ、このまま来てもらっても構いませんよ」
「そ、そうか
(家に一度帰って動揺を鎮めようと思ったのに‥
き、緊張する!)」
「どうかしましたか?」
「な、何でもない。
行くか」
「…定食屋か?」
「それと裏で花屋です……ガラガラ
こんばんはー」
「へい、いらっしゃーい‥ってなんだよ
我が娘か」
「ただいまー、ですよね」
「ん?誰だそこの奴は」
「あ、ええと由」
「んなことはどうでもいいんだよ。
立ち話もなんだ、
上がってこい」
「聞いといて無視かよ!」
「あ〜?何か言ったか〜」
「ん〜…」
「あら!お客様ですか?」
「あ、客じゃ」
「こんなんが客じゃ
商売あがったりだぜ」
「あら、それでは渚のお友達ですか?」
「と〜も〜だ〜ち〜だ〜!?」
「あ、ああ」
「…」
「…なんだよ」
「…まさか渚の彼氏か?」
「違います!そんなのじゃないです!」
「‥まあ、渚がそういうんだったら信じてやろう」
「…」
「ほら、いつまでそこに突っ立ってんだ」
「どうぞあがっていってください」
「…そんなことが学校であったのか」
「知らなかったのか?」
「それについては、もう話しましたよ」
「へ?」
「ああ知ってたぜ」
「じゃあさっきの素振りは?」
「覚えてね〜な
そんなことよりテメエの名前は何ていうんだ」
「それはさっき言おうとしたらあん」
「ごちゃごちゃうるせいな。だからなんだよ」
「‥由来 漉音だ」
「由来‥人間か?」
「当たり前だろ!
じゃなかったら何だよ」
「いや、何でもねえよ!」
「お父さん、少し失礼です」
「そうですよ玖珠さん。お客様にはちゃんとした応対をしないと」
「わかったよ環那。
で、由来とやらは何しにきたんだ?」
「ああ、学校のことで如月に呼ばれて」
「なに!呼ばれただと!そうなのか渚」
「はい、呼びました」
「ちっ!」
(なんでだよ!)
「ところで、どういった内容のお話で来たんですか?」
「え、ああ。ちょっと俺たちの友達が、
部活をつくりたい、
なんて無理なことを急に言い出して、そのための良い案を月曜日までに考えろっていう話です」
「なんだか楽しそうですね!、それ」
「最近のやつにしては気合いがあっていいじゃねえか。
気に入ったぜ、そいつ!」
(罹依、まさかお前がこんなところで好感度がアップしてるなんて思ってないよな)
「何か良い案でましたか?」