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第34話:終幕

劇の内容が

ちょっと素っ気ない

気もします…

「…由来さん、

この物語は誰が

作ったんですか?」

「渚だ‥」

「作った本人が

劇中であっても

悲しむ理由は

何でしょうか?」

「……」

「…この物語は

書き加えられている。

違いますか?」

「…そうだ」

「やはり……

この物語の《最期》は、

どうなるんですか?」

「…ハッピーエンド」

「偽りの?」

「お姉ちゃんたち

さっきから何の話か

わからないんだけど‥」

話の展開に

ついてこれず、

彩音が尋ねる

「つまり、この物語には

如月さんの過去が

加わっていると‥」

「そこまでは俺も

知らない。だけど、

渚は今、その困難を

乗り越えようと

しているはずだ」

「‥どうしますか、

次のテープ。

それとも幕を?

それとも……」

「…渚に、任せるさ」


渚は今も舞台の上で

膝をついている。

テープはまだあるが、

これは渚が台詞を

繋げないとできない。

渚がこの舞台、物語を

左右している……

「くっ…

俺が舞台に出れれば‥」

「あっ!

名案み〜つけた!」

彩音が突然何かを

閃いたようだった

「どうしたの、

彩音ちゃん?」

「出たいなら

出ればいいじゃん」

「…それができないから

独り劇なんだぞ」

「司会者はそんなこと

言った?」

「……そうかっ!

俺がこのテープを

直に舞台に行って

言えばいいのか!」

「簡単なことだから

もう気づいてるかと

思ってたよ〜」

「なら!

神崎、彩音、知美!

ここは任せたぞ」

「あ、ちょっと

待ってくだ‥‥」

俺は渚のためにと

もう無我夢中だった


階段を降りる。

角を曲がる。

舞台には渚。

台詞は覚えた!

(渚っ!)

舞台に出ようとした

そのときだった。

……渚がこちらを

見ていた。何かを

訴えかけるように。

〈ブーブーブー〉

携帯のバイブレーション

がポケットの中で

揺れ動く

[駄目です、由来さん]

「神崎?、何でだ!?」

[今如月さんは

来てほしいと思っている

と思いますか?]

「渚のため‥」

[なんかでは

ありません!

それはあなたの

エゴです]

「エゴ!?」

[彼女は自らの力だけで

その過去を克服しようと

しているんです。

そこにあなたは登場

しません]

「っ!……渚‥」

そのときだった。

「渚ぁぁぁぁ!!」

会場内に聞き覚えのある

声が響き渡る

「何やってんのよ!

部長はあんたでしょ!

リーダーが動けなくて

下が動けるわけ

ないでしょうがぁ!」

「り…罹依さん」

「ちょっと、

お姉ちゃん!

まだ動かない方が

いいって!」

「私のことはいいのよ。

渚!、漉!

あたしはここから

見てるから、

頑張んなさいよ!」

「罹依のやつ…

…ん、渚!

お前が俺たちを

引き寄せたんだ、

俺たちはお前に

惹かれたんだ!」

「由来君……」

「渚さん!」

「渚ぁぁ!

お前の友達のためにも、

俺たち家族のためにも、

やったら最後まで

やり通せぇぇ!」

「渚!

ファイトですよ!」

「結依さん、

お父さん、お母さん…」

渚は立ち上がり、

会場をまた見回した

「はー、ふー……

見えない扉が

あるかのように、

私の手は向こうに

届かない‥」

「(ここで俺か)

…お前はもう向こうには

行けないんだ。

‥俺が行けないように

したんだからな。

悪戯でも虐めでもない、

お前が現実で

生きるためだ」

「でも私は行きたくない

向こうでもまた、

あなたと逢うために」


………パチパチパチ!

俺たちの劇は終わった。

ついに‥ついに……

「如月さん、由来!」

「河南!

久しぶりだな」

「お久しぶりです」

「良かったぞ、

見てて何か

不思議な気分に陥った」

「不思議?」

「ああ、まるで夢を

見ていた感じでな」

「お前まさか‥

‥寝てた?」

「いや、本当に

夢を見ていたん

じゃなくて、何か…

よくわからん人らしき

やつがいて、

寂しそうだった」

「(人らしきやつ…

……まさかな)

そうだ、罹依!

あいつ無理して…」

「ないわよ。

あたしを誰だと

思ってんのよ」

「おわっ!

いつの間に……

お前のことだから

どうせ無理して

来たんだろ?」

「全然っ!

健康そのものよ。

ていうか健康の塊よ」

「意味わかんねえよ‥」

「由来!、渚ちゃん!」

「古今!

景気づけに消えなさい」

「へ?」

罹依のパンチはすでに

古今をとらえて…

「パシッ!」

「なっ!?」

「…暴力は駄目です」

「お姉ちゃん強いっ!」

「神崎、彩音。

ありがとな」

「…はい」

「どういたしまして〜!」

「あんた、あたしの

パンチを止めるとは、

何者?」

「越後の

ちりめんじゃこぉ〜」

「………知美」

「……ぶふっ!」

!!

ひとりでに吹いた!?

「……おもしろく

なかった?」

軽く涙ぐんでる

「そ、そんな目で

俺を見ないでくれ‥」

「ハハハハハァ!」

「ハハハッ!」

「ハハッ」

「ぶふっ!」

「フフッ!」


このまま、

終わらないでほしい


こんな楽しいやつら、

どこ捜したって

見つかんねえよ


明日、

明日だ。

俺は、渚やこいつらと

一緒に‥‥‥‥


本当の本当に最期

一歩手前です。


なんだか

終わりたくないです。

というか

省略のせいで

もしかしたら

楽しめてない?


…まあ、それはそれで

置いといて。

《遥か先の道で》

次、最終回で

新たな始まりです。

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