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第33話:夢から覚めても

珍しく古今が気難しい顔

をしていた

「え、じゃあ劇は

どうすんの?」

「大丈夫だ。

如月が1人で

やってくれる」

「渚ちゃん、1人で

できるの!?」

「はい、一通りは…」

「だから古今。

お前は俺や知美、神崎と

裏方だ」

「うん、

あのスポットライト

とかでしょ?」

「ああ、

だからお前は…

そうだな、ロッカーの

掃除担当だな」

「扱いが酷く

ありませんかっ!?」


「…次は、先程する予定

だった、演劇部の

劇です。

題名は《嘘の世界》

……それではどうぞ‥」

パチパチパチパチ……

会場からは司会者の

説明と拍手の音が

聞こえる

「ふ−、ふ−‥」

緊張のせいか、如月は

深呼吸を始める

「如月。

いや、渚…

これが成功したら

明日一緒にどこか

行かないか」

「え、あ、はい。

……成功させましょう」

「ああ」


今、舞台の真ん中には

渚が1人だけいて、

俺たちはその少し上の、

機械やら色々と

置かれている部屋にいる。

そして、目の前には

幕の昇降スイッチ。

……これを押したら、

始まるんだよな‥

「由来さん、

渚さんなら大丈夫ですよ」

「私もそう思うよ」

「……行くぞ」

そして俺は…

スイッチを押した‥‥



「…ここはどこでしょう。

人々はいつものように

振る舞い、

いつものように接して、

時は流れています…

…でも、違う。

私と今まで出逢ってきた

友達は、何か、

悲しそう。

でも、彼女は

少しだけ、こう言って

くれた‥」

「神崎、ここで

テープ1!」

「抜かりなしです」

「…《私たちね、

もう、いないの。

この町も、

あなたの目からは、

消えちゃうんだよ。

だから、私は願うよ。

あなたの目が、

真実を見れるように…

…さよならは、

この世界では

言わないよ》

そして、彼女は

遠い空へ…と……」

「? どうしたんだ、

渚は」

「あれ、

演技じゃないの?」

「違う。あんなところ

じゃ止まらな‥」

ザワザワザワ……

流石に会場も少し

おかしいと

気づき始めたようだ

「渚…」


「(何?これは…

頭の中に、変な、

……そんな‥

由来君!、罹依さん!

結依ちゃん!、

知美ちゃん……

どうして、みんなが…)」

如月は膝を落とすように

倒れる

「渚!

どうした、渚ぁぁ!」

「ここからじゃ

防音設備で声が向こう

まで届かないよっ!」

「緊張に耐えきれず、

動けなくなってしまった

のでしょうか」

「いや、渚はそんな

弱くはない。

……テープ2だ。

ここからでも

わからなくはない」

「‥わかりました」

「《君はまだ、

この世界の真実を

知らないわけではない。

気づいているだろう、

私たち以外の生徒は

もう、消えたよ。

この世界に、無関係な

人間は干渉できない

からな。

……こんな、悲しみを

背負うのは、まだ、

君には重い。

でも、もう代われない、

許されないんだ。

この、世界は…

真実へと繋がる…》

「はっ!」

如月が突然、声を出した

かと思うと、また

何かを考えるように

跪く。

その顔には、この角度

ではわからないが、

涙が溢れそうなように

しか見えない

「…テープ3だ」

「しかしっ!」

「あと戻りはできない…」

「……」

「《君がいてくれたから、

俺たちはここにいるんだ。

そうでなければ、

俺たちはすでにいない…

…もう、役目は済んだ。

俺たちは今から戻るよ。

どこかはわからない

けどな。

…きっと、お前たちは

こっちに来れない。

来たら意味が

ないからな。

……行け、2人共。

出口は校門しか

残ってない。

…行けぇぇぇ!!》」


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