第24話:Two
「ったく…
‥おい、知美!」
「……」
「知美!
聞こえてんだろ。
返事しろ!」
「……」
「おかしいな‥」
「しょうがないわね〜
本どかすわよ」
「わかったよ」
俺たちは本を
どかしはじめたが、
それはまるで城壁の
ようだった。
…別にする必要ないよな、こんなふうに。
「知美!………」
「漉!、いた?」
「シー」
口の前に指を立てる
「何よ?」
「これこれ」
「……あ〜
眠っちゃったのね」
「こん中って
安心できんのか?」
「知美ならではの
ワザね。
…そういえば留学、
知美は行かないの?」
「いや、行くみたいだ」
「でも、期限は今日でしよ」
「冬に行くんだ」
「冬?
そしたら、卒業式
出ないの?」
「その2日前くらいには一時帰国するらしい」
「そう。
…そういえば
この前、知美の
誕生日は今日だって
聞いたわよ」
「今日?
‥そうか、
知美のやつ、
いい夢見れたら
いいのにな」
そのとき、
知美の唇が微かに
動いた気がした
「……漉‥君」
昼休憩
「‥知美ちゃん。
起きましたか?」
「‥渚ちゃん?
…おはよ〜ございます」
「もう昼休憩
なんですけどね」
「昼休憩?
…あれ、私寝てた?」
「はい。
とても気持ちよさそうでした。
由来君の言っていた
通りです」
「…漉君は?」
「由来君も‥
ほら、あそこにいます」
「眠っちゃったの?」
「ほんのさっきに。
知美ちゃんが起きる
のを待ってたんですよ」
「…そう」
「ところで聞きたいことがあるんですが」
「なに?」
「この本…
知美ちゃんのですか?」
近くにあった本を
1つ手にとる
「えっと…
資料室の本だよ」
「資料室?」
「うん。
案内する?」
「3年生にも
なったのに、
学校の中を案内
されるなんて、
思ってませんでした」
「漉君も起こさないと」
「そうですね‥
‥由来君!
起きてください」
ユサユサと
揺すぶられるこの感覚は昔にも覚えがある…
「由来君!
……起きてますね?」
「‥バレたか」
「フフッ‥
引っかかりましたね」
「え?」
「もし反応しなかったら本当に寝ているということです。
けど、由来君は
質問に答えた。
つまり、
由来君は見事に自白
してくれました」
「そんな知識
持ってたのか?」
「この本に
書いてました」
その手には、
さっきまで机の上に
置いてあった本が
あった
「‥漉君、
今から資料室に
渚ちゃんと一緒に
行くんだけど
行きたい?」
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