第17話:再来
今さらですけど、
知美のしゃべり方を想像するときは、
〈ゆっくり〉ということを覚えていてください。
「〈渚のおじさん
こんばんは〜!〉
のときくらいから」
「嘘っ!」
「本当っ!」
「いままで何してたのよ!」
「なんか気づいたら
図書室で寝てたんだよ!」
「あっ!……
起こすの忘れてた」
「忘れてたってことは知ってたのかよ!」
「古今!
少し黙ってなさい」
「何だよ、罹依
急に!」
「今、作戦会議中なんだよ」
「って、ああっ!!
いつかの図書室の」
「宮間知美です。
よろしくお願いします」
「あ、ども。
‥じゃなくて!」
「あ〜もう!
これじゃあ部員探しがはかどらないじゃないの!
‥はい!
今日はこれで解散!」
「おい、罹依!
どこに行」
「終わりよ!
じゃあまた明日!」
そういうと罹依は店をすぐに出て行ってしまった
「お姉ちゃん!
待って!」
「急ぎなさい、結依」
「お姉ちゃんが急ぎすぎだよ!」
「待たないわよ!
来るなら早く来」
「‥っ!
お姉ちゃん!
横! 車! 逃げて!」
「へっ?」
トラックは罹依のすぐそばまで来ていた
「あ、あぁ…」
「お姉ちゃーん!!」
「ブッブ〜
危ねえじゃねえか!
気をつけやがれ!」
「お、お姉ちゃん?」
「…大丈夫ですか?」
「あ、あんたは?」
「僕は平気ですよ
……やっと僕を必要としてくれましたね」
「へっ?…」
「罹依ー!結依ー!」
「あ、由来君!」
「大きな音があったけど、
何があったんだ?」
「ええと‥
この人が、トラックにひかれそうだったお姉ちゃんを助けたんです」
「この人?
…お前確か!」
「え、覚えているんですか!?
変だな〜
確かに記憶は消したはずなのに」
「漉の知り合い?」
「何言ってんだ!
罹依も前、仙里に会っただろう」
「仙里?…
うっ!なんか頭が‥」
「大丈夫、お姉ちゃん?
病院に行こ」
「そ、そうね」
罹依は結依につれられ、病院に行ってしまった
町灯りには、
俺と仙里の2人だけが映った
「仙里。
どうしてお前がここに‥」
「僕はあなたと初めて会ったとき、
罹依に必要とされていなかったんです。
でも、彼女はさっき心の中で
〈誰か、助けて!〉
と強く願ったんです」
「だからいたのか」
「はい。
…由来君。僕を演劇部にいれてください!」
「何!?
入りたいのか?」
「罹依さんのお役にたちたいんです。」
「…!
わかった。
ひとまず明日な。
今日はもう遅いし」
「あ、ありがとうございます!」
「由来君、
それで罹依さんたちはどうしたんですか?」
由来:如月、知美、
突然だが、
新たな入部希望者だ。
仙里っていうんだ
渚:え、もうこんな
夜遅くにですか?
‥如月渚です。
よろしくお願いします
知美:宮間知美です。
よろしくお願いします
仙里:仙里です。
よろしくお願いします
渚:仙里っていうのは
上の名前ですか?
それとも下ですか?
仙里:下です
由来:下だったのか!
仙里:はい。
〈雲英 仙里〉
(きら せんり)
っていうんです。