第16話:願いが叶う場所
「ん〜‥‥
例えば私を肝臓に置き換えると〜〜」
(中略)
つまり、
肝臓というのは臓器の中でも能力が高く、
その4分の1を切り取っても再生するとされる。
知美を肝臓とする時、
俺たちはそこらへんの血管を流れる赤血球くらいらしい。
けなされてる感じがするがどうにも反論できない。
天才って卑怯だ……
そんなこんなで俺たちは顧問の先生を探すことになった。
その作戦会議で罹依が、行う場所で提案したのが……
「こんばんは〜」
「へい、
いらっしゃーい!って
なんだよ、我が娘…
だけじゃないらしいな」
「渚のおじさん
こんばんは〜!」
「こんばんは〜」
「ここが定食屋…」
「知美はこういう店に来たことないのか?」
「うん。初めて」
店の奥から環那さんが出てきた
「あら!
みんな渚のお友達ですか?」
「はい。
今日はちょっと私の姉が来てみたいということだったので」
「かたいわね〜
結依、もっと楽にすればいいじゃない。
ね、環那さん!」
「はい。
私もそのほうが話しやすいと思いますよ」
「そうですか…
じゃあ頑張ってみます」
「…そうだ!
おっさん!」
「お、お、おおお
おおっさんだと!」
「駄目か?」
「駄目だ!」
「じゃあ何て呼ばれてほしいんだよ」
「そうだな〜
玖珠様とか玖珠さんとか、最低でもおじさんだな!」
「却下」
「いいだろう!
おっさんで応えてやろうじゃねえか!」
「ああ!
よろしく頼むぜ!」
顔の距離は10センチもなかった。
しかもどちらの言葉の1つ1つが重く、
強調されていた。
「じゃあおっさん!
しばらくいさせてもらうぜ!」
「小僧がっ!
生意気な口をきくぜ!」
「‥でどうすんだ?」
「渚、あと部員は何人必要なの?」
「ええと、いま部員は
由来君、罹依さん、結依ちゃん、知美ちゃん、私、古今君
の6人ですからあと
1人ですね」
「あと1人か〜」
「にしてもあいつ、
どこにいんのかしら」
「………お〜い」
「‥今なんか聞こえなかった?」
「確かに声が聞こえたの」
「……お〜い」
「やだ!
なんか声が近づいてきてる!」
「‥もしかして」
俺は店の入口近くの植木鉢の裏を覗いた
「‥やっぱりな」
「漉音〜どうしたの?」
「いや、何にも!」
「いるいるいるいるいるいる!!!」
「わっ!」
「へっ!」
「あっ‥古今君!」
「いつからそこにいたのよ、あんた!」
「〈渚のおじさん
こんばんは〜!〉
のときくらいから」
渚:そういえば成績を
考えれば知美ちゃんと由来君が一緒の
学校っておかしくないですか?
由来:そんなことは
ないぞ、如月。
何も一般入試だけ
じゃないからな
渚:それはつまり‥
スポーツ推薦ですか?
由来:古今もな
渚:じゃあ運動神経
抜群なんですね
由来:え、ま、まあな