第15話:出来事の前兆
「罹依ちゃん。
話戻してもいいかな?」
「いいわよ、戻して」
「うん…
それでね、その制度は私が初めてみたいなんだけど、
授業料や入学金の
免除の他に、教室で授業を受ける必要がなくなるんだよ」
「‥凄いな、そりゃ」
「〜ちゃん!
お姉ちゃん!」
そこに早瀬と如月が同時にやってきた。
「あら、結依に渚!
どうしたの?」
「どうしたのじゃないよ。チャイム鳴るよ」
「あ!
それ言いに来たのに忘れてたわ
行くわよ、漉!」
「あ、ああ
…っとそうだ!
古今!おい、古今!」
「ぐあー!
どりゃー!」
「駄目だ。
まだ壊れてる」
「しょうがないわね〜
結依、やりなさい」
「うん。
‥古今君!ちょっと」
「おわー!
のわー!‥‥ゴッ!」
古今はまたどこか神経をやられたようだ
古今よ、永遠に……
その日の放課後
「ここが‥部室?」
「知美、来たか!」
「うん。
でもここって…」
「まだちゃんと掃除しきれてないんです。
ええと、宮間さんは
近くでくつろいでいてください」
「知美でいいよ。
私も渚ちゃんって
呼んでもいい?」
「はい。
もちろんです」
「よし!
あらかた片づいたな」
「はい。あとは部員と顧問の先生ですね」
「そうだな。
あと部員と顧問…
顧問?」
「顧問です」
「‥っ!
まだ問題があったか」
「それなら大丈夫だよ」
「何?
まさか、優遇特待生制度か?」
「ううん。
私も増えたから効率がよくなったってこと」
「増えた‥ってことは入るんだな!」
「うん。決めた」
「ありがとう、知美!」
「ありがとうございます、知美ちゃん」
「こちらこそ。
…そしたら探しに行こう、先生を」
「でも現実は1人増えたところであまり変わらないんだけどな」
「大丈夫だよ。
私、漉君より信頼度が高いから」
「うっ!
さらっと言うな‥」
「ガラガラガラ……
渚!結依に頼んで演劇部のポスター貼ってもらったわよ」
「あ、ありがとうございます!罹依さん」
「あれ?渚さん。
そちらの方は?」
「たったいま入部してくれた
宮間 知美ちゃんです」
「宮間…ってあの?」
「そうよ、結依。
学年トップの成績で
全国共通模試で3番のね」
「知美ってそんなにすごかったのか!?」
「あんた知らなすぎ」
「知美ちゃん頭いいんですね」
「それほどでもないけど…」
「知美、あんたがそれ言ったらあたしたち何なのよ」
「ん〜‥‥
例えば私を肝臓に置き換えると〜〜」
(中略)
由来:ボソッ…
知美が入部してくれたのはいいんだが、
成績は大丈夫か?
罹依:どういう意味?
由来:部活でもし知美の成績が下がったりでもしたら…
知美:大丈夫だよ。
私、きっと部活も勉強も両立できるから
渚:‥凄い自信です。