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第五話 超TS変身 【挿絵付き】

TS小説を見て、TS主人公をすこるのは良いけど、TS主人公と男が恋愛するのはなんだかむかむかすることに気づき、微妙なこの性癖の差異に自分でも驚く今日この頃。TS主人公が男に雌堕ちさせられるのは嫌で、TSヒロインが雌堕ちするのには喝采をあげるのが作者である。

多分作者自身がTS主人公にそれなりに感情移入しているからか、それともTS主人公を内心でアイドルのように捉え、男ができるのを忌避しているのか。小説を通して自分の内面と向かい合う今日この頃。


あ。祝ブックマーク20越えと、PV1000越え。みんなありがとう。

昼休みを終え、午後からは主に戦闘能力の測定をすることになった。


本来、ただ英霊を召喚してしまっただけの子どもの場合、戦闘能力の測定まではしないのだが、僕の体に組み込まれた特殊な細胞の影響を測るために、ある程度現状でどれほどできるのかというのを知っておいた方が良いらしい。


故に。


格闘技訓練場。現在僕は、格闘技が非常に長けた英霊術士さんと対峙していた。


向き合った感覚としては、非常に隙がない。普通に攻撃を仕掛けても、あっさりといなされてカウンターを喰らいそうな予感がする。


「ふむ。来ないのですか? それなら、こちらから行きますかね」


スッ、と。英霊術士さんの踏み込み。身体能力的な面では、これが試合ではなく試験であり、測定であるため、あまり人並み外れたものではない。しかしそこから繰り出される拳はあまりに無駄がなく、多大に積まれた研鑽の歴史を感じさせた。


「……」


首を僅かに動かす。


ヒュッと、拳が僕の顔の1cmほどの横の空間を穿った。


…でも、この程度の速さなら、余裕をもって避け切れる。


「ほう」


英霊術士さんは感心したように呟いて、さらに連撃を繰り出してくる。


「…もうちょっとスピードを出しても大丈夫ですよ」


全て躱して、そういった。英霊術士さんは全然力を出していない。こちらを子どもと気遣ってかなり抑えているいるのだろう。だから遠慮はいらないと告げる。


「なるほど。ではもう少し、早めていきますね」


英霊術士さんの更なる連撃が繰り出される。僕はそれを躱して、躱して、躱す。


僕はそこまで格闘術や体術に対して理解があるわけではない。こういった戦いの勉強をしたいと職員さんに頼んで、英霊術士の戦いの映像を今度見せてもらう約束はしてあるが、現状では僕の戦いに対する理解は、前世の銃の撃ち合い、砲撃や機関銃陣地などの塹壕戦のようなもので止まっている。そこに体術というものが介在する余地はほとんどなかった。


だから、僕は英霊術士さんの体捌きを見て、学習する。僕の集中状態は新しい何かを思いつくことはあまり得意ではないが、目の前のことを観察して修得するといったことは、非常に効率的に行える。


「…これは」


学んだ動きを、自身の体捌きに反映させる。動きは今までのものよりずっと効率的かつ、合理的に洗練されていった。


「もしや、英霊同調を行っていますか?」


「…? いえ、やっていませんよ?」


そう答えると、英霊術士さんは目を閉じ、何かを考え込むように沈黙した。


「これは、凄まじい才能ですね…。あなたがこのまま成長していったら、どれほどの領域へ至るのか…」


褒めてくれるのは、嬉しい。でも、その期待には応えられるかは分からない。


「ありがとうございます。でも、僕は真似しかできませんから…期待されるような成長をできるかは分かりません」


こう動けばこうなる。こうすれば合理的だ。僕はそれらを、公式を暗記するように覚えることはできても、新たに革新的な手法を生み出したり、瞬時に応用をできたりするわけではない。あまり期待されても、それを裏切ってしまうかもしれないと、申し訳なく感じる。


「いいえ。相手の技を瞬時に覚えることができる、それでも十分に強力です。英霊術士には非常に優れた技を使う者が何人もいます。彼らと戦い多くの技を修得していけば、あなたは誰よりも多彩な技を持てるでしょう」


英霊術士さんは構えを取った。それは見たことがない独特な構えで、おそらく何らかの高度な技が繰り出されるのだろうと予想できた。


「まず、私の技を一通り覚えてみなさい。そうすれば、あなたは更なる高みへいける」


英霊や英霊術士さんが苦労して修得した技を、僕が見ただけ何の苦労もせずに修得していく。それは英霊術士さんにとって許せることなのだろうか。もし英霊術士さんが嫌がるのなら、僕はこれを止めようと思っていた。


しかし疑問を尋ねるよりも先に、英霊術士さんは拳を繰り出してきた。






























美しい心だ。彼女…いやまだ彼…、を初めて見た時に抱いた感想は、それに尽きる。


容姿が美しいというのもあるが、それ以上に美しい心を彼は持っており、それは私のようなより多くのものを見ることができる眼を持つ者にとって、何よりも尊いものだと感じることができるだろう。


だからこそ、彼と簡単に拳を交わして分かったが、彼は争いには向いていない、非常に優しい気質の持ち主である。戦い方一つで、争いごとへの厭いが十分に伝わってくる。


しかし、彼はおそらく誰よりも才能に、戦うことに恵まれている。こちらの動きを完璧に模倣することができる才能も、こちらの動きを把握し回避できるその回避能力も。


彼の意思の強さは、相対するだけで分かる。そしてこの優しさというのも、争いは嫌えど、何かを護るためならと、彼を積極的に争いに駆り立てる要因になるのだろう。


難儀なものだ。必ずしも、本人の気質と才能は一致するものではない。この優しさは、おそらく今後彼を苦しめ続けることになるだろう。


だがしかし。彼にとって護れない無力さというのも、その心を傷つける刃となるのだろう。故に私の技を伝授することを決めた。


この世界は一見平穏に見えて、多くの争いの火種を持っている。英霊の力によって地球社会は以前より遙かに経済力、軍事力、結束力を得たが、得体の知れない異世界に繋がるという可能性や、そしてその先の様々な国家との軋轢。または得体の知れない生物との戦闘など、以前よりも遙かに多彩かつ強大な脅威に晒されている。


彼が体験した地獄もまた、いつかは起こりえるかもしれないと予想してあった出来事の一つだ。


こういった不安定な状況において、彼の才能はこれから更に求められ、周囲の期待を背負うことになるだろう。あの政治や軍事に長けた英霊を使う、老獪な政治家たちはこのような逸材を見逃すわけがない。彼の優しささえ政治家たちは利用するだろう。この社会を仕切る政治家たちは間違いなく有能で、民を想う気持ちを持っている。だからこそ、取れる手段は全て使う。彼らは1の犠牲で万を救えるならば、有能であるが故に迷わない。


「やっ!」


目の前の彼が、私の英霊の技をそのままに放ってくる。やはり凄まじい才能だ。世界最強の英霊術士、(つらぬき)(おもい)の英霊とほぼ同質の力。相手の動きを全て見切り、真似することができる驚異的な集中力。完全にその力を使いこなしているというのなら、その身に秘めた5等級の英霊の力も相まって、彼は遠くない未来に人類の頂に立つだろう。


「タイミングが甘いですね」


しかし、彼には彼女と違って、それを扱う才能はあまりない。かの最強は修得した技をすぐさま己の中に取り入れ、使いこなすことができる戦術の天才でもあったが、彼は技を得ても、それの使い方というものを理解はしていない。


どのタイミングでそれを放つのか。フェイントや緩急などの、戦いにおける駆け引きの部分。この少年にはそれが未熟である。


戦いを厭う優しい気質故に、無意識にそれを抑えているのか。それとも単純にこういった争いの才能がないのか。目の前の彼の心を見て取るには、どうにも前者であるように思えてならない。


「私を傷つけるのが、怖いのですか」


問いかけると、少年は動揺したように視線を揺らし、俯いた。


「はい。 僕はあまり誰かを傷つけたくはないです」


「…これは検査です。あなたの戦いの能力を正確に測るのが目的ですよ?」


それだけではない、と続ける。


「あなたは強い。それだけであなたは期待される。あなたは、いつか人々の目の前に立ちふさがる、傷つけたくはない脅威を退けることを望まれることになるかもしれない」


そうなれば、あなたの誰かを傷つけたくないという思いは、あなた自身を強く傷つけることになります。


私は言った。この年の子どもにはまだ早いかもしれないが、彼は見かけよりずっと賢い。おそらく私が言いたいことを理解してくれるだろう。彼はとても好ましい心の持ち主だ。できればそれを諦めて欲しくない反面、現実を知るが故に、どうしても口を出さずにはいられない。


「そうですね…はい、それは分かっているんです」


少年は目を閉じ、逡巡するような顔を見せる。


「でも、これが僕のやり方なんです。傲慢かもしれない。現実が見えていないのかもしれない。それでも、今度こそ僕は」


少年は目を開き、私をその目で見た。私は思わず息を呑む。私はそこに、かつて感じたことがないほどの凄まじい意志の強さを感じた。


「想いは分かりました。しかし、想いだけでは何も変えられません」


想いだけでは何の意味もない。むしろ、これほど固い決意で茨の道を歩む覚悟をしているのだから、一層タチが悪い。想いはそれ以上の強さでねじ伏せられることもある。彼は、それを知るべきかもしれない。


「少し、本気を出しましょう。傷つけたくないなど言ってはいられない強者と対峙した時、あなたはそれにどう対応するのか」


あなたの答えを、見せてください。私はより英霊の力を引き出し、本気の構えを取る。


「…いいえ。おそらく、想いは」


力に、変えられる。


その言葉を聞き、彼の目を見た時、ぞくりとした悪寒が走った。


彼の気配が、より強大に感じられる。強き意志の奔流。私は心眼を通してそれを見て、とてつもない畏怖を抱いた。


「……っ」


私はそれを誤魔化すように、少年へ飛びかかる。












そして私は、三秒で少年に無力化された。


私の動きは完全に把握されていた。駆け引きなど、そういう次元ではない。私がどのように動くか、まるで未来を見たかのように完璧に把握していた。彼の持つ力が最強の彼女と同じ部類であるなら、理解はできる。彼女も戦闘を重ねるごとに相手の動きを把握し、ほぼ完璧な未来予測ができるようになるが、これはあまりにも早過ぎる。


検査を始めてから、おおよそ10分ほどだろうか。それだけで私の全てが掌握された。


凄まじい才能だ。震撼すると同時に、私は少年に畏敬の念を抱いた。その意志の強さと想いを貫くその決意に。


私は可能性を見た。現実は厳しく、時にどうしようもなく険しい試練が立ちふさがる。その壁の前に、大抵の人々は諦めるか、妥協をしてベストではなくベターの結果を求める。それでも、この少年なら。誰もが諦めるような険しい壁も、その意志の輝きで乗り越えていけるのではないか。


私は少年の未来に思いを馳せた。
































素の状態の戦闘能力測定を終え、現在僕は実践演習場にいた。目の前には英霊同調状態の戦闘能力を測るための、凄腕の英霊術士さんがいる。


実践演習場は英霊同調した状態での戦闘訓練を想定して作られており、様々な技術で周囲へ戦いの余波が漏れないような設計がされているらしい。


『それではキサラギさん、全力の英霊同調を始めてください』


「はい」


耳元から聞こえてくる先生の声を聞いて、よく分からないけどすごいハイテクな技術だなぁと感心する。


先生からは、一度全力で英霊同調を行って欲しいと言われていた。僕が初めて英霊同調を行った時は、全力を尽くさなくても化け物たちを殲滅できる確信があり、むしろ力を引き出し過ぎると制御不能になる可能性を考えて、英霊の力を少し借りる程度に止めた。


先生は僕の全力を計測しないことには、効率的な訓練課程の作成ができないようなので、今回は僕も全力で英霊同調を行ってみる。


先ほどの英霊術士さん、ロン先生は、僕はいずれ期待される立場になると言っていた。それを思い出すと、僕の脳裏に全力で英霊同調を行っていいのかという一抹の不安が湧いてくるが、正直僕にはどうしてよいのか分からない。


強大な力は、期待されるだろうし、それが自分たちに向かないかという人々の不安を抑えるために、当然束縛される立場になるだろう。そして、僕の意に沿わない形で利用されることがあるかもしれない。


嫌な想像はいくつも浮かぶ。こういった政治的なごたごたは、前世の上官さんがとても上手くやってくれていたので、あまり不安はなかったのだが、今世ではもう上官さんを頼りにすることはできない。


だから僕は、先生を信じることにした。まだ短い付き合いだが、菊乃先生はなぜかよく分からないが僕をとても大切にしてくれるように感じる。所々感じる凄まじい意思の片鱗は、どこか僕に粘り着くようで、少々怖いと感じることもあるけど、それでも先生は優しい人だということは伝わった。


そんな先生が、全力を出して欲しいと言った。だから僕は先生を信用して、全力を出すことにする。


「行きます」


英霊同調。





いくつもの、記憶を見た。








【孤独の少女は一人、戦いの日々をおくる】


【戦いの末に、少女は一つの宿を得る】


【少女はそこで、死にゆく定めの女性と出会った】


【女性との親交の果てに、少女は一つの答えを得る】


【心優しき少女が己を遺した意味への、答えを得る】


【女性への死を定める大いなる敵へ、少女は全てを賭して立ち向かった】


【そして死闘の末に、少女と大いなる敵の戦いは相討ちに終わる】


【誇りと女性の安寧への願いを抱き、少女は独り眠りについた】


























「ほう。これは…凄まじいな」


この日、何らかの形で力を感知することができる人々はみな、一様に同じ場所へ意識を向けた。


エネルギー感知することができる機器は等しく異常な数値を計測し、星の大気はその圧力に軋みをあげる。


「確かめなきゃいけないなぁ」


月々キサラギ。彼はこれより、様々な人物にマークされることになる。















挿絵(By みてみん)


青い光が、はじけた。


同調。100%。


精神的な負荷は…きつくはあるが、堪えられないレベルではない。おそらくこれなら、すごくきついが気を失うまでは持続できる気がする。


「?」


視線の高さが変わっている。どうやら身長が大きくなっているようだ。…うん、胸がしっかり女性になっているなぁ…。


それと、僕は気づけば別の衣装を着ていた。これは…英霊がかつて着ていた服だ。


右手には、英霊が使っていた大剣を持っていた。高い英霊同調率を発揮すると、その英霊の装備を借りることができると聞いていたが、これはそういうことだろうか。


それにしても、滾る力が凄まじい。今の状態なら、英霊の経歴から考えるに、星さえも砕けそうだ。


『キサラギさん、申し訳ないですが、検査は一時中断します』


え。っと、驚きについ声をあげてしまう。


『キサラギさんから計測されているエネルギーの量が大き過ぎました。すみません。見積もりが甘く、想定外でした。ここの演習場ではそのエネルギーに耐えられないことが予想されます』


こうして、僕の英霊同調時の戦闘能力検査は少々拍子抜けな結果に終わった。

主人公は地球社会ではほぼ最強。多分単独でも国を滅ぼせる。じゃあ、主人公一辺倒の俺TUREEEE小説になるかといわれると、NO。作者が好きな作品はドラゴンボールで、割とこれの力学関係がベースになっている癖がある。つまり、主人公とその敵の戦闘能力だけ際限なく上がっていく形式。


挿絵を描きました。構図は他の上手いイラストを参考に描きました。ぱくったともいう。違和感のない構図を自分で描こうとすると、ものすごい時間がかかるので許してください。なんか人体の見本みたいなのがあれば構図とか上手く掛けるのかなぁ?問題があったら消す。

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