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第2話 管理者という存在。

お読み頂き有り難う御座います。


第2話です。


あのゼロという名のウザい神様によって異世界に飛ばされて二日目。


特にする事も無いので、ゼロが言ってた様に冒険者ギルドに登録する事にした。


セイト:『すいません、ギルド登録したいんですけど。』


ラース:『いらっしゃい、君達は初回登録かな?』


セイト:『はい。』


メルティ:『よろしくお願いします。』


ラース:『俺はラース、ギルドの各種手続きの担当だ。まずは必要事項をこの用紙に記入してくれ。』


二人は用紙に記入するとラースに手渡した。


ラース:『セイトとメルティだな?じゃあまずは、そこの白いクリスタルに両手を乗せてくれ。』


手を乗せると、クリスタルが淡く光り出した。


ラース:『もう良いぞ。次はその緑色のクリスタルだ。』


手を乗せると同じ様に光り出した。


ラース:『よし良いぞ。へぇ君達は資質が高いんだな。スキルはシルバーだ。メルティ、君もシルバーだな。』


良かった、フィルターのおかげで本来の能力はバレて無いみたいだ。


セイト:『それで次は・・・。』


ラース:『あぁ、ちょっと待ってくれ。ほら、これがギルドカードだ。これには今から君達の基本情報とギルドランクが明記される。君らは二人ともスキルランクがシルバーだからカードもシルバープレートで出来ているんだけど、無くしたりすると再発行に手数料が掛かるから気をつけてくれよ?』


セイト:『登録料はいくらですか?』


ラース:『1人30ペンスだ。』


セイトは60ペンスを支払った。


ラース:『まいど。それで君らは二人でパーティーを組むって事で良いのかな?』


セイト:『そうですね。』


ラース:『ならパーティー登録しておくよ。リーダーはセイトで良いんだよね?もし新たにメンバーが増える様ならギルドで登録してくれ。登録しないと報酬やら何やらでトラブルになりかねないからな。』


セイト:『クエスト以外での討伐はどうなります?』


ラース:『討伐はその魔物によって報酬は異なるけど、基本的にどんな魔物でも報酬は出るんだ。だが初心者の内はあまり無理はしない方が良い。ミイラ取りがミイラになっては本末転倒だからな。そこの掲示板の隣に魔物の出没ポイントが掲示されているから参考にしてくれ。』


セイト:『解りました、有り難う御座います。』


ギルドでの登録が終わると、武器屋と防具屋で装備品を買った。


セイト:『あとは道具屋と薬屋か・・・。』


メルティ:『何かセイト様手慣れてませんか?』


セイト:『そうかな?でも必要な事を順番にしているだけだと思うよ?』


メルティ:『昨日嫌がってた割には順応性高いですよ。』


セイト:『だってもう帰れないんでしょ?せっかく異世界に来たのに、何もせずに過ごすのも勿体無いかなぁってね。』


メルティ:『なんか私、ほとんど御世話出が来て無い気がします。昨夜だってセイト様が料理も洗い物もしちゃうし・・・。』


セイト:『そのぐらいはするよ。でもメルティだって朝起こしてくれたし、朝食の用意や洗濯もしてくれたじゃないか。』


メルティ:『それは支える者として当然の役目ですよ。』


セイト:『でもメルティ、夜中にベッドに潜り込むってのはどうなんだろう?』


メルティ:『そのくらいのご褒美良いじゃないですかぁ。』


セイト:『それご褒美だったんだ・・・。』


メルティ:『でもセイト様の許可無しにエッチぃ事はして無いですよ?』


セイト:『当たり前だよ!』


て言うか、正直そのせいで少し寝不足なんだから!


でもどうなんだろう?


メルティってどんな娘なのかまだ理解出来て無いんだよなぁ。


セイト:『ねぇ、メルティって自分の事どんな女神だと思ってる?』


メルティ:『う~ん、正直自分でも分かんないんですよねぇ。神界で目覚めてからは直ぐに女神の修行が始まりましたし、基本知識が身に付いたら直ぐにこの世界に送られましたし。自分の事について考えた事なんてありませんからねぇ。』


セイト:『そっか。今まで女神なんて会った事も無いから、どんな接し方して良いのかも解らないんだよ。』


メルティ:『セイト様の世界には女神が居なかったんですか?』


セイト:『大昔の神話とかには出て来るんだけどね。神も女神も実在したかどうかが不明なんだよ。』


メルティ:『おかしいですね・・・。世界には必ず担当の女神が何人かは居る筈なんですが。』


セイト:『知ってる名前だとギリシャ神話とかなら確か・・・アテナだったかな?』


メルティ:『アテナ・・・あっ!それもしかしたらアテーネ先輩かも?』


セイト:『アテーネ先輩?』


メルティ:『はい、ゼロ様の前の上級神様が管轄しておられた女神の1人です。でも確かアテーネ先輩って左遷されたって噂なんですけど・・・。』


女神が左遷て・・・。


セイト:『いったいその女神は何やらかしたの?』


メルティ:『私も詳しくは知らないんですけど、世界神様を蔑ろにして信仰心を集めてたとか何とか?』


セイト:『女神が信仰心を集めるのはいけない事なの?』


メルティ:『その世界神様によりますね。世界神様によって方針も違うんですよ。本来女神は世界神様の補佐役ですから。』


まぁ女神の方が位が低いなら当然かな。


にしてもどっかで聞いた様な失敗談だな。


セイト:『その世界によって神様の方針が違うって事?』


メルティ:『はい、人々による発展を望まれる世界神様も居れば、あまり人々に力を持たせたがらない世界神様もいらっしゃいます。この世界の場合は後者の世界神様の世界となりますね。』


セイト:『じゃあ向こうの世界は人々による発展を神様が望んだ結果な訳か。何となく分かる気がするな。』


その後道具屋と薬屋に寄って買い物を済ませると、魔法の練習をした。


色んな系統の魔法があるが、スキルと併用して使う魔法がかなり便利そうだ。


相手の個人ステータスとレベルやスキルを見る事が出来るという固有スキルを見つけたが、これは今後役立つかも知れない。


他にも生活に役立つ魔法や、いかにもゼロが趣味で付与したとしか思えないやらしい感じの魔法やスキルもかなりある。


正直覚え切れないほどの物量なので、日常的に使えそうなものから覚える事にした。


メルティ:『やはりセイト様は覚えるのが早いですね。かなり特殊なスキルがあるみたいなので、いずれ試してみると良いですよ。』


セイト:『こんなに魔法を使ったのに全く疲れないのは、やっぱりゼロが桁外れな魔力量をくれたからなんだろうね。』


メルティ:『厳密に言えば、セイト様は世界神様により近い存在ですからね。いつでも世界を滅ぼせるほどの大魔法が使える訳ですし。』


えっ!?


なにそれ?


まるで人間核兵器じゃん!


それって・・・ヤバくね!?


セイト:『何だってまたそんな危ない魔法使える様にしたんだ!?』


メルティ:『セイト様は世界神様の代理人みたいなものですからね。管理者として再生が必要だと判断したり、ゼロ様から指示があった場合は再生の為に使える様にしてあるんです。』


まてよ?


考えてみれば確かにそうだ。


でもアカンでしょ!?


間違って使った時の事とか考えたのか?


良いや・・・考えるの止めよう。



さすがにお腹が空いたので昼食を食べる事にした。


幸いこの町には食堂が沢山ある。


食文化が発達した国は、それだけ豊かな文化を育んでいる証だ。


旨い店を探せる楽しみがあるのは何より嬉しい。


しかもお金に困らないので、金額で料理を選ぶ必要が無いのは素晴らしい。


とは言っても、町の食堂はどこもリーズナブルなので、少し討伐をしただけでもそこそこ良い食事が頂けるんだけどね。


セイト:『ねぇメルティ、この町には領主って居るの?』


メルティ:『一応居るみたいですよ?でも町には住んで無いみたいですね。』


セイト:『て事は貴族社会なんだね?』


メルティ:『そうですね。でも貴族の大半は大きな町にしか住んで無いので、ほとんど会う事はありません。たまに視察に来る事はあっても、町長と会う程度です。』


セイト:『治安とかはどうなの?盗賊とか組織とか。』


メルティ:『こういう地方の町にはほとんど居ませんね。大きな町や、逆にここより小さな町には出るみたいです。』


セイト:『じゃあ基本的には平和そのものじゃないか?それでも管理者が必要な理由って何なの?』


メルティ:『確実ではありませんが、再生してからの発展度合いで決めておられるみたいです。』


セイト:『つまり平和かどうかじゃ無くて、文化の進み具合で決めてるって事か。』


これでこの世界の状況と管理者が必要な理由はある程度解った。


ゼロの説明不足のせいでメルティを質問責めにしてしまったけど、いつか埋め合わせはしよう。



昼食を済ませると、メルティが気を利かせて家でこの世界の事を色々と教えてくれる事になった。


一般的な社会のルールや国が定める法律はもちろん、今現在各国が抱えている問題や軍事的な問題なども。


実際には干渉しない訳だが、世界情勢の知識は身に付けた方が良い。


さらに各国の地域による特産品も教えてくれた。


メルティに転移魔法を教えて貰ったので、検閲を受けずに多国を回れるのは楽だし色んな食文化を楽しめる。


向こうの食生活には戻れないので、少しでも多彩な食環境が欲しかったから有り難い。


こうして考えるとメルティが居てくれて本当に良かった。


ん?でもゼロが俺をこっちに飛ばさなければこんな事にはならなかったんじゃないか?


うん、やっぱりゼロが悪い。


ゼロ:『頭の中で何考えてるかなんて筒抜けなんだけどぉ?』


セイト:『わっ!?出た!?』


メルティ:『ゼロ様!?』


ゼロ:『人を化け物みたいに言わないでくれる?』


セイト:『いや、人じゃ無いじゃん!それで今日は何の用なの?』


ゼロ:『一応君には知っておいて欲しい事があっねね。』


セイト:『知っておいて欲しい事?』


ゼロ:『セイト君は自分の事を人間だと思ってるみたいだけど、君はすでに神界の民なんだ。つまりメルティと同じ神の一族なんだよ。』


セイト:『ふぅ~ん、そうなんだ?』


ゼロ:『反応うっす!?まぁそれでね?君が今まで持ち続けて来た概念は捨てて欲しいんだよ。それは性に関する事はもちろんなんだけど、死に関する事もなんだ。』


セイト:『どういう意味?』


ゼロ:『簡単に言うと、君は老いる事も死ぬ事も無い。たとえ刃物で刺されても、体を引き裂かれても死ぬ事は無いんだ。』


セイト:『・・・やっぱりゼロが悪い。』


ゼロ:『なんでよ!』


セイト:『僕の人生観なんてそう簡単に変えられる訳無いでしょ?だいたい自分で望んだ事でも無いんだし、いきなり概念を捨てろって事自体無理があるよ。』


ゼロ:『でもこっちの世界で暮らすには重要な事でもあるんだよ?今君と同年代に見える人が数十年経てば年老いる。でも君は何も変わらない。それは君以外の人から見れば異質な存在以外のなにものでも無いでしょ?もし君が同じ土地でずっと暮らすなら、一定の間隔で偽装魔法を使う必要があるんだ。』


セイト:『だろうね。それで当然人族と結婚でもしようものなら、自分の妻にも永遠に隠し続ける必要があるだぞって言いたいんでしょ?』


ゼロ:『・・・う、うん。』


セイト:『そんな事は何となく解ってたよ。だからゼロは僕とメルティをくっ付けたかったんだろうなってね。』


ゼロ:『・・・いつから気付いてたんだい?』


セイト:『昨日寝る前に色々考えていてね。多分そういう事なんだろうなとは思ってたんだ。まさか面と向かって言われるとは思わなかったけどね。まぁそんな説明も一切無しに、いきなり人を異世界に飛ばすってんだから世の中には酷い神様も居たもんだよね。説明なんか全部後乗せサクサクな感じだしさ。』


ゼロ:『ボクはカップ麺の天ぷらか!?いや、悪かったとは思ってるよ。でもボクの判断は正しかったと思ってる。君は突発的な状況をこれだけ冷静に受け入れてくれたんだからね。』


セイト:『アホか!逃げ場が無いだけだよ!メルティが居なけりゃまともにこの世界の事情すら分からなかったんだよ!?』


ゼロ:『ならそうやってもっと親密になっちゃいなよぉ♪』


セイト:『そう単純な話じゃ無いんだよ!』


ゼロ:『またまたぁ~♪覚悟が出来てる女の子に恥かかちゃだめよぉ?』


セイト:『ホントこの神様ウザい!』


ホント・・・やっぱり全部ゼロが悪い!

お読み頂き有り難う御座いました。

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