バスどころじゃないよ!!
…。
なんか、帰り道だけでも、二人で歩くのっていいなぁ…。
…黙って手をつなご♪
「…。」
あ、ユウスケ、赤くなってる~♪
可愛いなぁ…。
夢ではいつもエスコートしてくれてたけど、
私が積極的に動くのも楽しいなぁ…。
「ねぇ、ユウスケ?」
「どうしたの?」
「あれ…バス乗ってみたいんだけど…。」
「あぁ、良いよ。
時間もあるし、隣の駅に行って電車で戻ろうか。」
「電…車…?」
「あ…リノンは知らないか…。
電気で動く車だよ?
バスよりも大きいから。」
「へぇ…。」
…なんだか、想像できないや…。
バスより大きいって、船くらい??
そういえば、電気って…。
「…サンダー?」
「…違うよ…。」
…う~ん…、やっぱりこっちの世界は分からないや…。
後でしっかり聞こっ。
あれ?
ユウスケ、立ち止まっちゃった?
看板の前?
「いいクエストあったの?」
「…いや、バス停って言って、バスが止まるところだよ。」
「じゃあ、ここに居れば乗れるんだ?」
「うん、そうだよ。」
へぇ…。
馬車は馬車屋で借りてたけど…。
「バス屋で借りるじゃないんだ…。」
「…ないことは無いけど…高いし…。」
「え?バスって高いの?」
「借りた時だよ。
今待ってるバスは、巡回バスって行って、
安くて決まったルートを行くんだよ。」
う~ん…よくわからない…。
でもそれじゃあ…。
「行きたいところに行けないんじゃないの?」
「行きたいところの近くでおりて、歩くんだよ?
本当に目的地でおりたいならタクシーかな…。
…って、タクシー知らないよね?」
「うん…。」
…わからないことだらけだ…。
ん…今日来たばかりだし、ユウスケにゆっくり教えてもらおっ。
「あ、バス来たよ。」
「…大きいね…。」
バスが止まると、ぷしゅーって言ってドアが開く。
「え?誰が開けたの?」
「運転手さんじゃないかな?」
「…運転手さんって、魔法使いなんだ…。」
「…違うけど…。」
ユウスケは、バスに乗り込むと「大人二人」って、
運転手さんに話しかけた。
私も乗り込む。
「中広いね…。」
「ここ開いてるから座ろうね。」
窓側の席を勧めてくる。
私は言われた通りに座る。
「!?」
「ん?どうしたの?」
え?
隣なの!?
こっ、心の準備が…。
「うっ、うん!」
「?」
ひぃぃぃぃ!!!
ちっ、近いよ…。
こんなところで…。
…は、話し振ろ…。
「バ、バス動き出したね!
こんな大きなものが動くんだ。
すごいね!」
「うん、どう?
バスに乗った感想は?
馬車とは違うでしょ?」
…椅子フカフカで、あまり揺れないけど…。
バスの感想よりも、ユウスケが近いのが…。
「う、うん、良いね!」
…どうしよう…言葉が思いつかない…。
「あ、ここが僕の通ってる学校だよ。」
「そ、そうななんだ~!」
きゃぁぁぁ!!!
それ以上近づかないで!!
学校…気になるけど、目の前真っ白…。
…ユウスケの言葉が耳に入らない!!
「駅に着いたよ。
バスの景色って、なかなか良いよね?
じゃあ、次は電車に乗るよ。」
…景色どころじゃなかったんですけど…。
「…ユウスケ、ずるい…。」
「え?なんで?」
「何でもない!!」
…ちょっとのぼせた…。
…悔しいから仕返ししとこ♪
「うん、ユウスケが隣にいたから、
バスどころじゃなかったの♪」
「え!?」
…よし、ユウスケ、真っ赤になった♪
えへへ…こういうの、なんかいいなぁ…。