試験終了♪
「はい、そこまで!」
先生の号令で、私はペンを止める。
「結果は明日連絡しますね。」
「私…大丈夫でしょうか?」
「うん、この調子なら大丈夫ですよ。」
先生は静かに笑う。
「私たちも莉音さんが来てくださるのを心待ちにしています。
あまり緊張しないで、明日の連絡を待ってくださいね。」
「はい!」
「じゃあ、今日はもう大丈夫ですから、帰って休んでくださいね。」
「わかりました。
ありがとうございました。」
私は先生に一礼して、部屋を出る。
部屋を出るときにも一礼。
「ありがとうございました!」
…私、頑張ったよね?
現代社会は、正直自身が無いけど…。
「リノン?
終わったの?」
あ、ユウスケだ!
「うん、終わったよ~!
待っててくれたんだ?」
「うん、試験はどうだった?」
「う~ん…やっぱり現代社会が…。」
「そうか…。
でも、リノンなら大丈夫だよ?」
ん?
ユウスケ、なんか表情硬いなぁ…。
「ユウスケはどうしたの?」
「え?」
「なんか、ちょっと暗いよ?」
「あぁ…実はね…。」
ユウスケは間を置きながら、小声で話しかけてくる。
「…リノンが試験を受けてる間にエンカウントした…。」
「え!?」
私は思わず声を上げる。
周りの生徒たちがこっちを見る。
「…その件は、帰りながら話そう。」
「うん…。」
私たちは学校を後にして、ユウスケの家に向かう。
「エンカウントって…どういうこと?」
「うん…リノンが居ないのに、エンカウントしたよ…。」
「…う~ん、帰ったらシルビィに相談ね…。」
ユウスケだけでエンカウントってどういうことだろう?
「…それと…。
僕の友人も巻き込んじゃった…。」
「え!?
どういうこと?」
「僕の友人、親友の大樹なんだけどね、
エンカウントする時に僕に触れたんだ…。」
「あぁ…。なんとなくわかるよ…。」
「そしてね、戦闘が終わったら、大樹の腕に
『シーフ レベル3』って出てた…。」
「…。」
…ユウスケの友達まで巻き込んじゃったか…。
「…とにかく、シルビィに聞かないとね。」
「うん…。」
ユウスケも心なしか暗い。
…そりゃ、友人を巻き込んじゃっちゃんだもんね…。
そして、ユウスケの家にたどり着く。
・・・・・
シルビィへ。
今日の試験は何とかなったよ!
それより、今日ユウスケだけで
エンカウントしたらしいけど…どういうこと?
ユウスケの友人も巻き込んじゃったんだって…。
わかることは教えて!
リノンより。
・・・・・
「これで様子見ようか?」
「うん…わかった。」
ユウスケの表情が硬い…。
いつもならシルビィの答えは早いけど…。
今日はなかなか来ない。
「シルビィも何かあったのかな?」
「まぁ…あったとしても、あの子の事だから
大丈夫だと思うけどね。」
私はユウスケをなだめるように言う。
でも、私も不安だった。
こっちに来てから、シルビィの返事が遅かったことは無い。
逆に早いくらいだったのに…。
私とユウスケは、シルビィの返事をじっと待っていた。