リノンに負けたくない!
僕たちは図書館に来て、いつもの勉強スペースに入る。
それにしても…英語と古代文字が似たような感覚とは…。
「英語と古代文字って似てるの?」
「うん、どことなく似てるから平気だよ?」
僕にとっても、英語は不得意の部類に入るんだけど…。
そこはレベル99の賢さでカバーしてるのだろうか?
「じゃあ、現代社会を少し勉強しようね。」
「うん、はっきり言って、ほぼ暗記だよね…。」
「まぁ…僕もそうだけど…。」
現代社会の教科書をとり、リノンに教える。
まぁ…苦手なのは分からないでもないけど…。
「どのあたりが苦手?」
「んっと…。国同士の関わり合いかなぁ…。
条約とかもむこうと違うからわからないところ多いな…。」
「暗記は得意?」
「うん、覚えるだけなら大丈夫だよ。」
僕はポイントとなる用語をリノンに伝え、
リノンはノートに書き留める。
「…モンスター倒しちゃダメなんだ…。」
「いや、動物だから…。」
そんなやり取りをしながら、勉強を進める。
「じゃあ、次は英語ね。」
「うん!」
正直なところ、僕の不安は英語だったけど…。
「ちょっとこれやってみて?」
僕は英語の2級テキストを渡す。
実際のところ、どこまで出来るのか気になる。
「わかった!」
リノンはすらすらと解き始める。
僕はその間に数学の準備をする。
「ユウスケ、出来たよ!
なんか、ちょっと難しかったけど…。」
英語の2級は僕でもやや難しい。
僕の検定用に買ったテキストだ。
「じゃあ、答え合わせするね。」
僕はテキストの回答を付け合わせてみる。
リノンはその間に数学の問題をやってもらった。
「…ほとんどあってるね…。」
僕はびっくりした。
確かに編入試験の範囲を超えているので、間違いもあったが、
もう少し勉強すれば、2級も受かりそうな勢いだった。
「…英語については、教えることないよ…。」
「ん?」
リノンは不思議そうな顔で僕を見る。
「…古代文字を読む要領で、こんなに解けるものなの?」
「うん、さっきも言ったけど、似てるから。」
…どんだけ勉強してたんだろう…。
単語とか…過去形とか…。
それもちゃんと解いてる…。
なんだか、むこうの…異世界でも勉強って重要なんだなぁ…って、
僕は感じた。
「数学は昨日聞いてたけど、大丈夫?」
「うん、これも暗号に似てるから。」
暗号に似てるからって言っても…そんなすぐに解けるものでは…。
「ユウスケ、出来たよ?」
リノンは教科書から写したノートを僕に差し出す。
「…うん、あってるね…。」
この様子だと、編入試験は大丈夫そうだ。
…てか、これがレベル99の実力なのだろうか…。
「…このままだと、僕がリノンに勉強を置いていかれそう…。」
僕はちょっとした危機感を覚えた。
これでも僕は優等生で通っている。
負けたくない。
「…。」
「ユウスケ、どうしたの?」
「僕も勉強する…。」
「?」
リノンが不思議そうな顔をする中、僕も勉強を始めた。