僕の雄姿、見せてあげるよ!
…。
ちょっと恥ずかしかった…。
さすが、異世界でモンスターを倒してただけある…。
あの様子なら、続けてるとギャラリーであふれてたと思う。
…十分、あふれてたけど…。
「ユウスケ、もう帰るの?」
リノンが遊び足り無さそうに言う。
「あのゲーム面白かったの?」
「うん!こっちの世界でも面白いのあるのね!」
…確かに楽しそうだったけど…。
「あのゲームはうちのそばにもあるから、また今度やろうよ。」
「わかった!約束ね!」
リノンは嬉しそうに答える。
…まぁ、本物の身のこなしだから、hardでもクリアしそう…。
そういえば、大樹ともゲーセンに行く約束してたな…。
その時にまたお披露目してもらおう…。
「そういえば、ユウスケのやってたゲームってのも知りたいな…。」
「あぁ、日記に書いてたね。
それはね…これだよ!」
僕は大型の通信対戦ゲームを指さす。
僕がやりこんでたゲームだ。
「これはね、ちょっと操作が難しいからリノンには無理かな…。」
「そっか…じゃあ、やってるところ見せて?」
「いいよ!」
このゲームは僕がやりこんだゲームだ。
そこそこ自信がある。
「このゲームはね、ロボットに乗り込んで他のプレーヤーと
対戦するんだよ?
一人でもできるけど、対戦が売りなんだ。」
「へぇ…。」
「でね、このコックピットに乗るんだけど…。
一人乗りだから、リノンはそこのモニター見ててね。」
「わかった~。」
僕はコックピットに乗り込む。
日記を書いてた時からもやりこんでて、
今の称号は「大尉」になっている。
称号だけ見て、対戦に入ってこない人もいるくらいだ。
ここは僕の腕の見せ所。
「いくよ!!」
コックピットの中なので、リノンにはきっと声が届いていない。
1ステージは肩慣らし。
CPUを難なく瞬殺する。
2ステージからが本番。
ここからいきなり難易度が上がってくる。
でも、僕の腕なら、最終ステージでも余裕ではある。
3ステージ目で、対戦相手が現れる。
僕と同じ「大尉」の称号を持っているようだ。
「リノン、見ててね!」
声は届かないにしても、リノンに声をかける。
対戦相手、なかなか手ごわい!
カウンターを仕掛けるも、かわされる。
「やるな!!」
僕は接近戦から銃撃戦に切り替え、間合いを取る。
「今だ!!」
そして、相手が隙を見せた時に、一気に畳み込む。
画面には、『YOU WIN』の表示が現れる。
…リノンに良いところ見せれたかな?
そして、3ステージのリトライ、4ステージ。
ラストの5ステージで、ヒットアンドウェイを繰り返し、
エンディングを迎える。
…良いところ見せれたかな?
「リノン、クリアしたよ!」
「うん…。」
あれ?
反応が薄い…。
ギャラリーはできてるのに…。
「リノン、どうだった?」
「よくわからないし、ユウスケばかり楽しそうで、
つまんなかった…。」
リノンはむくれて言う。
『ユウスケはまた空回りをした。』