水族館のお土産
「いろいろあるね!」
「うん、リノンはどんなのが好き?」
僕たちはお土産屋さんに来ていた。
リノンは店においてあるものを夢中で見ている。
「これ、チンアナゴだね?」
「ボールペンかな?
なんだか使いにくそうだけど…。」
リノンは大きなボールペンを手に取り、僕に見せる。
「これはペンギンかな?
こっちはクマだね!」
なんか、むこうの世界ではモンスターと戦った勇者って
感じがしなくなる。
一人の女の子って感じに見える。
…とはいえ、僕も女の子とこんなところには来たことないけど。
なんだか、年相応の女の子の反応に見える。
「ん?ユウスケ、何考えてたの?」
「ううん、何でもない。」
「ふ~ん。
まぁいいけど。」
リノンはお土産に夢中だったが、急に手を止める。
「…可愛いお土産いっぱいだけど、私には渡す相手が
いないな…。」
「まぁ…僕もだけどね。
父さんと母さんに渡すぐらいかな。」
「…シルビィに渡したいなぁ…。」
「…。」
異世界の仲間…。
もう、仲間と言うよりも、同年代の友達っていった方が
いいのだろうか?
多分、リノンは向こうの世界ではかなり、
お世話になってるはずだ。
いや、日記を通して今もだと思うけど。
「送る方法もあるあもしれないから、
シルビィにも買ってあげたら?」
「そうね、そうしてみる!」
リノンの元気が戻った。
「最初に選んだこれにしたい!」
「書きにくそうなボールペンだけど、良いの?」
「うん!いいの!」
リノンはチンアナゴのボールペンを二つ手にする。
「こっちは私用で、こっちはシルビィ!」
遠く…もう戻れない世界かもしれないけど、
離れててもきっと大切な友達なんだと思う。
お揃いで日記が書けるなら、いいんじゃないかなと
僕は思った。
「リノン、ほかにはいらない?
僕、父さん母さんにも買おうと思うけど。」
「ん…じゃあ、これもいい?」
リノンは大きなぬいぐるみを抱えてくる。
ジンベイザメのぬいぐるみだ。
「…それはちょっと高いかな…。」
「う~ん…じゃあ、こっちの小さいのは?」
リノンが指さしたのは、小ぶりのジンベイザメの
ぬいぐるみだった。
「これならいいよ。」
「うん☆ありがとうユウスケ♪」
リノンは小さなジンベイザメのぬいぐるみを抱え、
嬉しそうにしている。
「でも、それ可愛い?」
「可愛いよ♪」
僕の見た目ではあまり可愛くないけど…。
そこは女の子の感覚なのだろうか?
「ありがとうございました~。」
僕は会計を済ませ、お土産屋さんを後にする。
「あ、ゲームセンターもあるね。
行ってみる?」
「それって、ユウスケの言ってたゲーセン??
行ってみたい!!」
僕はリノンの手を引き、ゲームセンターのある建物に
向かった。