タコの逆襲
モンスターは僕たちを待ってはくれないようだ。
僕たちは異世界のはざまに飛ばされる。
「!?」
僕は周りの光景に驚く。
海だろうか?水の中に居た。
「ユウスケ、大丈夫よ。
海の中でも魔法が効いてるから、おぼれないよ?」
リノンの声が聞こえる。
少しご持って聞こえるけど、声が出せるほど呼吸には
苦しまないらしい。
「本当だ。」
「ユウスケ、来るよ!」
リノンの睨む方向を見る。
「…タコ?」
「ビックオクトパス。
海の主だったモンスターよ。」
…また、リノンの毒針とは相性が悪そうなモンスターだ。
「リノン、このモンスターに毒針は通じた?」
「ううん。
急所に届かなかったから、毒でなぶり殺した。」
…また、過激な倒し方だなぁ…と僕は思った。
「とにかく、ユウスケは下がってて!
私が何とかするから。」
「わかった!」
とはいえ、僕もリノンに頼りっきりってわけにもいかない。
水のモンスター…電気、サンダーには弱いはず。
僕はサンダーの魔法を唱える。
「ユウスケ!ダメ!!」
「え?」
声は一歩遅かった。
僕はサンダーの魔法を唱え終わるところだった。
「ぎゃん!」
「つっ!!」
僕の放ったサンダーが僕とリノンに襲い掛かる。
ついでにタコにも。
「ダメって言ったじゃないの!!」
「ご、ゴメン!!」
僕とリノンはしびれて動けない…。
ついでにタコも。
「水の中だから、私たちにも通じちゃうの…。」
「そう…だったね…。」
僕たちはしびれが切れるのを待つ。
タコも同じく。
「ユウスケはサポートで!」
リノンが叫ぶ。
「わかった!」
しびれから解放された僕は、回復魔法を使う。
「ありがとう!
ユウスケ、待ってて!」
リノンはサンダーの直撃を受けてしびれているタコに襲い掛かる。
「たぁ!!」
リノンの毒針がさく裂する。
ただし、相手も肉厚。
なかなか致命傷にはならない。
そして、タコは足を伸ばし、リノンをつかもうとする。
「危ない!!」
僕はとっさに呪文を唱えていた。
さっきみたいな間違いはしない。
今度は風の魔法…ウインドを唱えた。
風の刃がタコの足を襲う。
「ユウスケ、ありがとう!」
今度はうまくいったようだ。
僕は水の影響を受けにくい魔法を選んでいた。
「いっくよ!!」
リノンはタコにめがけて突進する。
「リノン、目だ!!」
僕はとっさに叫んでいた。
一番の急所と言えば、目のように思ったからだ。
「やぁ!!!」
リノンはタコの目をめがけて毒針を突き立てる。
タコの目に当たり、タコは苦しむ様子を見せる。
「あたりだね!」
リノンは目を狙い、もう一度毒針で仕掛ける。
やはり目は弱点だったようで、タコの動きが次第に鈍くなる。
「とどめ!!」
リノンはタコのもう片方の目を狙い、毒針を打ち込む。
「!?」
タコは声にならない悲鳴を上げて、動かななくなる。
「ありがとう!ユウスケのおかげだよ!」
リノンが嬉しそうに声をかける。
そして、僕の腕がほのかに光る。
「レベル上がったみたいだね!」
「うん。」
腕に記された文字が、25から26に変わる。
そして、異世界のはざまから解放されて、
僕たちの世界へと戻っていった。