…食べることばかり考えてるんじゃない…。
私たちはさっきの大水槽と比べると小さな水槽が
並んだ場所に居た。
「これがタコだよ。」
ユウスケが指をさす。
中には茶色のうねうねとした生き物がいた。
「う~ん…私のイメージとは違う…。」
「どんなイメージだったの?」
「もっと大きなイメージ。」
むこうの世界で戦ったオクトパスとは比べても
小さく感じた。
何と言っても色。
もっと赤かったような?
「そして、もっと赤いイメージだったかも。」
「まぁ…ゆでれば赤くなるけど…。」
「あっちの世界のタコはゆだってたのかな?」
「…多分違うと思う…。」
ユウスケと一緒にタコを眺める。
「へぇ…あれの足を入れて、たこ焼きなんだ…。」
「…なんかそう説明されると、
たこ焼き食べれなくなるんだけど…。」
ユウスケが渋そうに答える。
私はほかの水槽を見てみる。
足の長い生き物が入っていた。
「これも、もっと大きいのがモンスターでいたような…。」
「カニだよ?」
「おいしいの?」
「うん、とてもおいしいけど、水族館で話す内容では無い気が…。」
…しまった、たこ焼きのせいで、食い気に走ってる…。
「これなんかも、モンスターで居たよ!」
「クラゲだね。
これはあまり食べないから…。」
「…ごめんなさい…食べることばかりは気にしてないから…。」
…すっかり食べる方向ばかりになっちゃった…。
「でも、きれいね…。ふわふわとしてて…。」
「うん、でもこう見えて毒があったりもするよ。」
「毒は分かる気がする…。」
海沿いだと、大クラゲとかいたなぁ…。
…いけない…モンスターとばっかり比べてる…。
「こっちの魚はなに?
ひょこひょこ動いてて可愛いけど。」
「これはチンアナゴだね。
僕も好きな魚だよ。」
「へぇ…。見てて飽きないね。」
「うん、この魚は僕もずっと見てられるよ。」
砂の中にもぐってるのだろうか、長くなったり縮んだりして面白い。
ユウスケがみてて飽きない気持ちもわかる気がする…。
「食べないからね…。」
「わかってる!!」
…すっかり食べるイメージをつけちゃった…。
恥ずかしい…。
「こっちは川魚のコーナーだね。」
「川魚なら、私もわかるかも?」
水槽を見てみる。
なんだか、今度は逆に大きい…。
「これはなんていうの?」
「ピラルクーだね。
一応、おいしいらしいよ。」
「もう…食べる解説はいいです…。」
私はちょっとやらかした感をおぼえた。
食べるだけって思われたくない…。
「あ、こっちは私が捕ってた魚に似てる!」
「イワナかな?
こういう魚を捕ってたんだ。」
「うん!網張って、追い込んでたよ!」
そうそう、こんなお魚。
なんだか、似てるところは似てるんだなぁ…。
「ちなみにこっちがサケだよ。
朝食とかで出てくる魚。」
「あ、私好きなやつだ!」
…ダメだ…食い気に走る…。
あまり食い気には走りたくないのに…。
「…なんで食べることばかり話すの?」
「いや…その方がわかりやすいかな…って…。」
確かに、わかりやすいけど…。
これじゃ、私が食べる事ばかり考えているような…。
そうして、歩いていると、ふと不穏な空気が流れる。
「…ユウスケ…モンスターがくるみたい…。」
「え?」
「天使様が止められなかった奴だと思うから…。
気を付けて!」
そして、私たちは異世界のはざまに引きずり込まれた。




