日記を書いていた時の頃
そっかぁ…。
ユウスケがここに泊まりに来た時、
初めての告白の時だったかぁ…。
私は日記のことを思い出していた。
「…シルビィが仲間になった時かぁ…。」
思い出すなぁ…。
私と同じ、人見知りで…。
「ふふふ…。」
「ん?」
「シルビィと会った時の事、思い出してたの。」
「できれば聞きたいな。」
「いいよ。」
思い出しながら、私はユウスケに話す。
「ギルドに行ったときに、声のかけやすそうな人を探してたの。」
「うん。」
「そしたら、一人でぽつんといる女の子を見かけたの。
『この子なら!』って、私から声をかけたんだけど…。」
今でもその光景がよみがえる。
私も勇気を振り絞って、声をかけたのだから。
「二人とも黙り込んじゃってね…。
声を出すたびに、声が合っちゃって…。」
「うん…。」
「そしたら最後に『仲間になりませんか!』って、
二人一緒に叫んでたの。」
私も…シルビィも…。
まごついてたなぁ…。
「声があったとたん、可笑しくなっちゃって…。
二人で笑ってたなぁ…。」
「そうだったんだ…。」
ユウスケは優しく相槌を打つ。
私も、昔を思い出しながらユウスケに話すのは、
なんだか心地よく感じた。
「…でも、シルビィの事はあまり詮索しないでね?」
「わかってるよ。」
ユウスケは微笑みながら返す。
…まぁ、私もひどいことしてたような気もするし…。
…でも、やっぱりユウスケがシルビィに興味を持つのは、
なんだかイラっとするし…。
「僕も何気なく聞いてみただけだったんだけど…。
あんなに言われるとは思わなかったよ…。」
ユウスケは少しバツの悪そうに言う。
私って、嫉妬深いのかなぁ…。
思えば、告白をもらってから、私の好きな気持ちは
加速していったような…。
「そういえば、シルビィにあってから港町に行った時の事、
よく聞けてなかったなぁ…。」
「洞窟のダンジョンで村の宝をとってきてほしいって言われてたの。
洞窟は埃っぽかったよー。」
「…まぁ、少し戦わせてもらったけど、
埃っぽいモンスターだったね。」
「うん。」
…正直、その時何してたかわからないや…。
むこうの世界での戦闘よりも、日記の事が気になってたからなぁ…。
「日記で夢中で、何してたかあまり覚えてないや…。」
「なんか、リノンらしいね。」
ユウスケは暖かな表情で笑う。
「船を探してたことぐらいしか伝わらなかったよ。」
「…船探すとか言いながら、レベル上げしてたけどね…。」
「そんな気はしてたけどね…。」
…私って、そんな行動わかりやすかったっけ?
って、スライムやプチデビルでレベル上げしてたから、
当然かもしれないなぁ…。
「港町のお魚はどうだった?」
「うん!とってもおいしかったよ!」
「…食べるほうか…。」
「あ、でもでも、見慣れないお魚いっぱいで
新鮮だったよ!」
「そうだね、リノンは川育ちだったっけ?」
「うん、そうなの!
川で両親とお魚捕ってたの!」
ユウスケはなにか思い出したように、笑う。
「さっき、魚捕ってたの思い出しちゃったよ…。」
「あれは、ユウスケも悪い!」
私たちは見つめながら、笑う。
「じゃあ、そろそろ行こうか。
ここは海の魚が多いけど、川の魚も展示してあるから。」
「うん!」
「あ、その前に、ドクターフィッシュ見てこない?」
「ドクターフィッシュ?」
「これも触れ合うことが出来るお魚だよ。
ぜひ、リノンには試してもらいたいって思ってね。」
ユウスケに手を取られ、私たちはドクターフィッシュの
いるところに向かった。