特設・ふれあいコーナー
「いらっしゃいませ!
2名様ですね。」
僕はチケット売り場でチケットを買う。
「…やっぱり人がいるんじゃ…。」
「券売機は人いないからね…。」
…まだ、人が入ってる疑惑をかけてるのか…。
今度は水族館の入場口に入る。
「チケットを見せてください。」
チケットを見せて、半券をもらう。
「…人が…。」
「…改札には入ってないからね?」
「わかってる!!」
…まぁ、駅も昔は人が切符を売ってたり、
切符を切ってたりしてたらしいし…。
入り口にはふれあいコーナーが設置されていた。
「フラッシュは禁止か…。」
僕は注意書きを読む。
「ユウスケ!ここって、お魚捕ってもいいの?」
「うん、フラッシュは禁止だけど、撮っても大丈夫だよ。」
「フラッシュ…?
あぁ、わかった~☆」
えっと…ほかには『魚をつかみ上げないでください。』かぁ…。
「ユウスケ!捕ったよ!!」
「うまく撮れた?」
「うん!」
そっか…リノンもスマホ使いこなしてるみたい…。
って!!
「その『捕る』はダメー!!!!」
魚を逃がしてあげて、周りのお客さんと係員に僕は謝る。
「良いっていったじゃん…。」
リノンはむくれて言う。
「ゴメン…注意書き見てて、写真かと…。」
「写真?」
リノンはきょとんとする。
「ん…じゃあ、そこの魚ふれあいで魚触ってみて?」
「うん、こう?」
「じゃあ、こっち向いて。」
「こう?」
「そう!笑って!」
「パシャリ」
スマホのシャッター音声が流れる。
…よく撮れた…。
…待ち受けにしようかな…。
「ユウスケ?」
「あ、ゴメン。
これが写真機能だよ?」
「私が映ってる!」
…う~ん…写真は説明してなかったかな?
撮ることも説明してなかったっけ…。
「リノンもやってみる?」
「うん!」
「こうしてお魚に向けて…。」
「私、ユウスケを撮りたい。」
「え?」
「ユウスケも、お魚触ってて?」
「あ、うん、わかった。」
僕は言われるがまま、魚を触る。
「ユウスケ、表情硬いよ?
笑って?」
「これでいい?」
「ひきつってる!」
僕はふと、魚に目を落とす。
魚って、自由に泳げていいと思う。
触り心地も…ぬめぬめしてるけど…。
「パシャリ」
リノンのスマホから音が聞こえる。
「ん?どんなの撮ったの?」
僕はリノンのスマホを覗き込もうとする。
「秘密~☆」
そういうと、スマホをポーチにしまう。
…結局見せてもらえなかった…。
「ユウスケ!水族館ってこんな感じなの?」
「あれは特別かな?
強い魚を入れて、触れ合うの。」
春休みだからだろうか?
なんか、体験型のコーナーがいくつかある。
あ、ドクターフィッシュだ。
後でリノンに体験してもらおうかな…。
面白そうだし。
「じゃあ、展示場見てこようか。」
「うん♪」
僕たちは手をつなぎ、展示場を目指す。
…もう、自然と手をつないでるな…。
なんて、僕は思った。