僕は足手まとい
…もう、だいぶ慣れできたな…。
僕たちは異世界のはざまに移動していた。
「今度のモンスターは?」
「クマのが2体だよ~!」
リノン、元気出てきたのかな?
「今度は二人で倒すよ!
ユウスケはサポートお願いね!」
「わかった!」
僕はファイアの魔法を唱える。
クマ一体に当たり、炎を上げる。
「グァァァ!!」
「ユウスケのレベルではまだ一人で倒せないから。
気を付けて!!」
リノンはそう叫ぶと、もう一体のクマの懐に飛び込む。
「たぁ!!」
一撃必殺。
毒針がクマの胸元に突き刺さる。
「グァァァ!!!」
クマは悲鳴と血しぶきをあげて倒れこむ。
さすがにリノンは強い。
僕なんて足手まといにしかなってない…。
「くっ!」
負けじと、もう一度ファイアを唱える。
クマの炎は勢いを増す。
しかし、次の瞬間。
「ぐはっ!!」
火だるまになったクマが僕に襲い掛かり、爪を立てた。
不覚にも、僕はその攻撃に当たってしまう。
「ユウスケ!!」
リノンが叫ぶ。
僕の体力は一気に削られる。
でも、なんとかギリギリのところで踏みとどまる。
「無茶しないでって言ったのに!!」
リノンはすごい勢いで、僕とクマの間に入る。
「たぁ!!」
リノンはクマの胸元に毒針を突き立てる。
「グオォォ!!」
血しぶきを上げ、クマは倒れる。
その血しぶきは、僕とリノンに降り注ぐ。
「ユウスケ!大丈夫!?」
「うん、何とか…ね。」
「今、回復するから待ってて!!」
リノンはそういうと、回復魔法を唱える。
「…ゴメン…。」
「…謝らないで…。
謝らなきゃいけないのは私だから…。」
リノンの表情が明らかに悲しみの表情に変わる。
「リノンのせいじゃないよ?
これは、弱い僕のせいだから。」
僕の腕がほのかに光る。
レベルアップらしい。
今回は2つほど上がった。
「リノン、僕レベルアップしたよ?
あたらしく風の魔法を覚えたよ!」
「…回復、しなくてもよかったね…。」
「まぁ、そうみたいだけど、ありがとう!」
とっさに回復魔法をかけてくれたのは嬉しかった。
でも…僕はまだ足手まといだなぁ…と、実感した。
「リノン…僕、もっと強くなるよ…。」
僕はリノンを励ますつもりで言った。
けど、リノンは僕の思惑とは裏腹に、
悲しそうな表情を浮かべる。
「さっきも言った通り、これで終わりにしよ?」
その言葉に僕は動揺する。
「リノンだけで抱え込まないで!!」
僕は必死に食い下がってしまった。
「僕も…僕も、手伝いたいんだ!
リノンの事、守りたいんだ!!」
「…少し…考えさせて?
私も、気持ちの整理が出来なくて…。」
「わかったよ…。」
そして、僕たちの世界に戻っていく。
それから僕の家に帰り、それぞれの部屋に向かった。
無言のままで…。