リノンはステータスも持ってきたのかな?
…僕も想像できなかった…。
リノンがきたら、一緒に話したりすると思ってた…。
でも…いざあってみると、こんな気持ちになるんだ…。
頭が真っ白になって、言葉が出ない…。
さっきの「好き」の言葉は、
それ以外の理由で出なかったけど…。
…知らなかったな…。
人を好きになると、こうなっちゃうんだ…って…。
リノンには、本当色々教えてもらってるんだな…。
「…ありがとう…リノン…。」
「ん…どうしたの?」
思わず、言葉に出てしまう。
「リノン…今どこか行きたいところある?」
「…いや、まだこうしてたい。」
「僕もだよ…。」
リノンはぎゅーっと、抱きしめてくる。
…そういえば、レベル99だけど…。
「リノン、力を制御してるの?」
「ううん…戦う時は別なの…。」
…そりゃそうか…。
普段の力がレベル99のステータスだったら、
コップを持つのも一苦労だろう…。
「そういえば、リノン。」
「なあに?」
…。
普通に話したいだけなのに、言葉が詰まる。
だって…まだ目を湿らせてるリノンに
見つめられたんだから…。
…可愛すぎるよ…。
僕は目を少し背けて話す。
「こっちに来ても、異世界のステータスは生きてるの?」
「…目を見て話してほしいな…。」
リノンがちょっとむくれる…。
いや…だって、目を見て話したら…。
…こらえてみる。
「もう一度言うね、…異世界…のステー…タス…は生き…てるの?」
…まともに話せないじゃないか!!
「…ユウスケ、かわいいね…。」
…いや、可愛いのはリノンの方だから!!
「うん、ステータスはそのままだよ?」
リノンは僕に視線を向けて、微笑んで答える。
…ダメだ…このままだと、殺されるんじゃないか…。
悩殺って方で…。
「こっちでは力使っちゃダメだよ?」
「わかってるわ。
天使様に、こっちに来る時にしっかり言われたよ?」
「そうか…。
ちょっと心配したんだ。
リノンを呼ぶときに、ステータスも奪ってないかって…。」
「『も』って、なに?」
「いや、その…。
向こうの生活を奪っちゃったじゃない…。
それが気になって…。」
「…もうすでに、私の大切なもの奪ってるくせに…。」
リノンは少しすねた感じで、僕をにらむ。
…すねた顔も可愛い…。
…そうか…僕を前にわざと怒らせたかったのは、
こういうことなのかな…。
「…何を?」
「…私の心…だよ?」
少し照れながら、ちょっと嬉しそうで…少し意地悪に言う…。
…僕は、心を完全に打ちぬかれた。
「ただいま~。」
リビングから声がする。
母の声だ。
僕は現実世界に、引き戻された。
…いや、今も現実だけど…。